posted by 渡月・トワヤ
at 15:30:34 │
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うぅ、寒ぃ…
久しぶりに晴れた日曜日の午後、ボクは屋上に上がり、空を眺めていた。
季節は秋から冬へと移ろいを見せている。
吹き抜ける風もまた、日増しに鋭さを増し、
眼下に広がる景色には、街路樹の紅葉が差し色の如く、灰色の街にちりばめられている。
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ボクはふと思い出し、階下のコンビニで買い求めていたホットの缶コーヒーをパーカーのポケットから取り出した。
まだあったかいそれは、ボクの冷えた指先にじんわりと熱を運ぶ。
フェンスに背を預けて屈み、コーヒーを開ける。
それで手を暖めつつ、胃袋も温め、ほぅっと息を吐いた。
後ろから、前から。
強く吹きぬける風を
まるで、今のボクみたいだと思う。
行き場を求めて彷徨うような。
だけど、まっすぐ進むしかない風。
きっと、目指すところはあるはずで
そこが海なのか山なのか、今はまだ良く判っていない。
ただ手探りで、明るいほうを探してる。
広い広い空。
どちらにだって、奔っていける。
立ち止まってもいいから、顔を上げておけ。
うつむく理由なんかひとつもないし、自分らしく在るのがいちばん。
ひときわ強い風が、背後から吹いた。
「そうだ、自分らしく在れ」
と文字通り、ボクの背を押すかのように。
ぶるっと身震いして、(もう冷めてしまっていたけれど)コーヒーをぐっと飲み干し立ち上がった。
もうあの風はどこにも居ないけれど、ボクは振り返ってにっと笑う。
「サンキュ」と小さく呟いて、それからダッシュで部屋へ帰った。
posted by 渡月・トワヤ
at 23:59:59 │
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ボクはここから、どう向かおうかな。
今は正直、風向きが見えない。
風を見極めて、
そしたら、迷わず走り出そうと思う。
posted by 渡月・トワヤ
at 23:59:59 │
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秋の長雨とは言うが、個人的には9月に降る長雨が好ましい。
夏の熱気を優しく奪っていくようにしとしとと降り続く雨が、まだ色濃い緑を濡らし煙らせる様は美しい情緒に溢れるように思う。
しかし今年は、例年にはないこの時期に、しかもけっこうな量の雨が降っていて、いまいち情緒にかけている…
天気予報では週末にかけても、降ったり止んだりを繰り返すと言っていた。
一雨毎に気温も下がり、冬の足音は大きくなる。
それにしても今日はやけに眠いなぁ…。
手紙の返事を書きながらウトウトと舟をこぐ。
ふと気づいたら、机に突っ伏して寝ちまっていた。
机の上の便箋を見直すと、ミミズが這ったような字で(しかも意味不明なことが書き連ねられている…!)に苦笑する。
えぇい、こんな変な手紙は、くずかごへポイだ、ポイ。
便箋をくしゃっと丸めて、くずかごへナイスシュー!
また明日、しっかり目が覚めてる時に書く事にしようと決めて、ボクは布団へもぐりこんだ。
posted by 渡月・トワヤ
at 23:59:59 │
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タタタタタッ!
待ちに待った報せが届いたボクは、嬉しさのあまり、
文字通り風のように、軽やかな足音を響かせながら、駆け足でとある場所へと向かっていた。
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向かう先は、先日の散歩の際に見つけた花鳥園。
その時は、気まぐれな散歩をしていて発見した場所だったので帰り道も迷い迷いだったし、次にもちゃんと訪れることが出来るかぶっちゃけ不安だったのだけれど、報せには親切に地図が同封されていて正直助かった。その地図によれば、実はその場所、ガッコからでもそう遠くない場所にあったのだ。
花鳥園の中の敷地内。
その片隅に建つ旧社員寮が、ボクが今向かっている先。
まさかこんな所に結社があるなんて誰も思わないだろう。
あまりにたくさんの人数でつるむのは、ボクは正直言って苦手だ。
その思惟や方向が一つに纏まっていれば問題はないけれど、それぞれのベクトルが重なり合うと、微妙なズレが生じるように思う。それは当然のことだと、納得はする。
ただ、ボクはなんだか、それを敏感に感じ取ってしまい、ガチャガチャと頭の中で大きな音が響くような感覚を受けて居心地が悪くなり、酔ってしまうのだ。
さて、今回、入団受理された結社「Aviario」
顔ぶれを見れば、皆が落ち着いた雰囲気でスローライフを楽しんでいるように見受けられる。
出迎えてくれた団長さんは1コ上の先輩なんだけど、なんだか可愛らしくて、すごく好い人だと思った。
それから、ケープペンギンのもいもいも出迎えてくれたのだ。
聞く話によると、園で飼育されているケープペンギンは全部で12羽。縄張り意識が強いらしく、寝床として結社の建物(旧社員寮)にも1匹が割り振られている。そのコがもいもいというわけだ。
結社の皆に可愛がってもらっているからだろう、とてももいもいは人懐こくてかわいらしい。
わぁ、なでさせてもらったりして良いのかな(きらきら
posted by 渡月・トワヤ
at 23:59:59 │
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雨の音。
かなり強い雨が降っているようだ。
ベランダに置いてあるエアコンの室外機に雨粒が滴り落ちているらしく、ポトンポトンと大きな音が規則正しく続いている。
その音でショパンの「雨だれ」を思いだすんだけど、この雨じゃちょっと強すぎるなぁ。
うーん、残念。
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携帯音楽プレーヤーで最近DLした音楽を聴く。
少しばかりアンニュイなそのシンガーの声が今日の天気に良く似合う気がして、自分のチョイスに満足する。
それからボクは、本棚を見つめた。
小説という気分にはなれなくて、古書市で手にいれた英国製の花図鑑を手にする。
花は良い。
育てるのは苦手だから、眺めるのの専門なんだけど、ね。
本を開いて膝に載せたまま、なんとなくうつらうつらとしてしまったようだ。
まだ雨は降り続いている。
意識がすべて眠りに落ちたわけじゃなく、脳みそのどこかは起きているらしい。
耳には雨の音が変わらず聞こえている。
雨のカーテンが閉ざした世界。
ボクは、薄暗いトンネルの中に立っていた。
左手側の壁に等間隔に並ぶ窓からは月明かりが零れ、でこぼことした壁が淡く白く照らされている。
ボクを包むひんやりとして湿り気を帯びた空気の感触と相まって、そこが地面を穿ったトンネルだと確信するに足りるものだったんだけれど、そこはしかし、ボクの記憶にあるトンネルと呼ぶには少し奇妙でもあった。
通路は狭く、人がすれ違えるかどうかという幅しかない。
それは少しずつ右にカーブを描きながら先へ続いており、右手側の壁には奇妙な絵の入った小さな額縁や、飾り皿がランダムに、なおかつセンス良くぶら下げられている。
壁に触れてみると、土であろうそれはずいぶんと硬くて岩のようだった。
ひんやりとした滑らかな感触がてのひらに残る。
やはり土の中のトンネルじゃないのかと思いたくもなるが、月明かりの零れる窓が、そこがまるっきりの地下ではないということを物語る。
窓の外は、晴れ渡る夜空。星の瞬きも良く見える…
どこかで見た風景だ。
あぁ、ここはホビット庄のバギンズ家…!
そう思い至った時に、目が覚めた。
ボクを包む空気は、先ほどのトンネルと同じな気がして、
きょろきょろと部屋を見回したけれど、夢は夢。
見慣れたボクの部屋の風景が、いつもどおりにそこにあるだけ。
ひんやりしっとりとしたこの空気が今の夢を見せたのかもしれない。
自分が思いがけず物語の登場人物になったような気分。
少し可笑しくなって、くすっと笑った。
膝に広げたままの本をぱたんと閉じて仕舞い、音楽を止めると、ボクは布団に潜りこんで。
あっさりと深い眠りに落ちていった。