posted by 渡月・トワヤ
at 17:20:24 │
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ふわり、と鼻をくすぐる甘い香りに顔を上げる。
視線の先、5mと言ったところか。
とある民家の庭先、柵から身を乗り出すようにしてその甘い香りの正体が植わっていた。
金木犀。秋を代表する花のひとつだとボクは思っている。
照りつける夏が終わって巡りくる秋に咲く花は意外と多く、またそれが乾いた空気に良く似合う。
明日は、戦争だ。
大事なものは、平常心。
だからこそ、普段と同じ一日を楽しみたいと思って散歩に出て、思いがけない邂逅。
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きょろきょろと周囲を見回して人通りがないことを確認すると、
目の高さまで撓っている枝までそろりと歩み寄り、花のひとつひとつまでが、良く見えるほどに顔を近づけた。
そういえば、こんなに間近で金木犀の花を見たことがなかったかなぁ。
初めて見る金木犀の花は、思いのほか小さかった。
橙色の、丸くてぽてっとした花弁が、可愛らしい。
近づきすぎて鼻が慣れてしまったのか、風向きの所為か。
あの甘い香りは、もう感じなくなっていた。
ふぅ、と息をひとつ吐き出して、ボクはまた歩き始める。
秋。
八百屋の店先に、ザルいっぱいの梨。
堤防には、鶏頭やコスモス、彼岸花が咲いている。
遠くの山の頂上付近は、少しずつ紅葉が始まっているようだ。
散歩の締めは、やっぱりいつものボクの場所。
ケータイでひつじ雲の空を写メったり、夕陽のオレンジを眺めたりして、
風が少し肌寒くなるまで、ただぼんやりと過ごした。
posted by 渡月・トワヤ
at 14:48:45 │
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鍵を開けて靴を脱ぎ捨て、
鞄をガッと床に放り出したら、
へたりと床に座り込んで
手近なクッションに顔を埋めた。
目に映るすべてが、悪い方に見えてしまう日がある。
今日は、そういう日だ。
理由なんかないって、頭では理解ってるのに。
…気を緩めると、涙が溢れそうだ。
posted by 渡月・トワヤ
at 12:19:52 │
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うーむ…
キャスターかメディックか、だな。
(背後事情で)戦闘への参加具合が、当日その時にならんとわからんからなぁ…(頭をかきながら考え中
posted by 渡月・トワヤ
at 23:59:59 │
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「唐突やけど、えぇかな」
相棒が訪ねてきて、開口一番。
何を言われるのかちょっと身構えてしまい、内心ドキドキしていたのは内緒だ。
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団長交代。
すでに一度、ボクらの間では話題に上っていたのだけれど、
まだ先の話だと思っていた所為で、心の準備がまったくできていなかった。
相棒もまた、思い立ったら即行動の人なのだと、今更ながら実感する。
部屋に篭ってやっていた作業の手を止めて、看板を挿げ替えることにしたが、
何も具体的に考えていなくて、さてどうしたもんかと考えあぐねる。
まぁ、ボクらしくやれば良いか。
とりあえず結社の説明を、思いつくままに全部書き連ねていたら、
なんだかとてもダラダラとした印象だし、言いたい事がボヤけているし。
読み返して、自分に苦笑い。
えぇい、面倒だ!
そうして、潔く半分以上消してから、エントランスに貼り替える。
「すっきりして えぇやんか」
ボクの作業をずっと見守ってくれていた相棒が、後ろから声をかけてくれた。
(作業中ずっとボクは「うぁー」だの「むー」だの唸っていたから、眺めていると面白かったかもしれない…
振り返って眺めた相棒の表情も、どこかすっきりとして見える。
責任感の強い彼のことだ。
顔を出せない己への苛立ちとか、口にこそしないが、きっとそういうものがあったろう。
「お疲れさん、だったね」
ボクは相棒に向き直り、にっと笑った。
その後、これからよろしくの意味と、
此処に集う皆の笑顔のひとつひとつが、紫陽花の花のようになりますようにという願いを込めて
エントランスをひとしきり、掃き掃除。
posted by 渡月・トワヤ
at 23:59:59 │
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「トワちーん!」
夜、部屋に遊びに来てくれたのは、紫陽花会館で元気№1の座に君臨するシェリ子だった。
「おぅ、旅行に行ってたんだって?おかえり。楽しかったかい?」
ボクは笑って、彼女を部屋に迎え入れた。
冷たい麦茶を出してあげるやいなや、彼女はテーブルの上に土産を置き、旅行中の出来事を文字通りのマシンガントークで展開し始めた。
正直、驚かなかったといえばウソになるけれど、
旅行がすごく楽しかったこと、
それをボクに伝えようと必死なのが可愛くて、
ボクはニコニコと笑って相槌を打ち、話を聞き続けて、夜は更ける。
話が一段落したところで、時計を見ると良い時間を指していた。
「さて、明日からまたガッコだぜ。かったるいけどなー」
「ホントにねーっ。それじゃ、ボクはそろそろ帰ろうかなっ」
そう言って、ぴょんと立ち上がり、シェリ子は手を振って帰って行った。
彼女はいつも明るくて元気いっぱい。
帰って行く彼女の後ろ姿を見ながら、
なんとなく、シェリ子のことを、野原を駆けるうさぎみたいだなぁ、と思った。