posted by 渡月・トワヤ
at 11:11:05 │
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「ちょっとこれから時間あるかー?」
午後の授業の終了のチャイムが鳴って、
ボクは4つ隣の席に座るクラスメイトに話しかけた。
「え?今から?大丈夫だよ~♪」
にっこり笑って、五十鈴は快諾してくれた。
立ち話もなんだし、と
ファーストフード店に行こうってことになって。
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今日彼を誘ったのは、先日行った古書市に五十鈴も行っていたらしいと小耳に挟んだから。
あれ、趣味も合うのかなーなんて思って、ちょっとおしゃべりしたくなったのだ。
「そういや、ガッコの外でこうして話すとか、初めてじゃね?」
ボクはアイスティーを一口飲んで、喉を潤すとそう切り出した。
「あー、言われてみれば、そうかも!ゴーストタウンには良く一緒に行ってもらってるけどねー」
五十鈴は笑う。
ボクがこのガッコに編入したのが今年の四月。
このガッコは、ボクみたいな能力者がたくさん集められているからか、
地元の時のように変な気遣いをしなくて良いのがなにより驚きだった。
ここに集う仲間たち。
もう独りで居なくても良いんだ。
そう思うと、今までの反動か、他愛もないおしゃべりのできる仲良しの友だちが欲しいな、なんてこっそりクラスを見渡したっけ。
相棒に友だちを作るにはどうすりゃ良いか相談したときに
「一緒に狩りに行って、手土産でも渡したらえぇんと違うか」
と、こともなげに言われ、そんなもんかーと緊張の面持ちで五十鈴を誘った。
手土産を持っていって、すぐに五十鈴からも返事と一緒に手土産が届いて
それからもちょくちょく、GTに一緒してもらうようになった。
そんなこんなで、ボクらはいつの間にか仲良しになってたんだ。
「え、えぇぇ!?」
思わずでっかい声を上げてしまい、はっと気づき店内を見渡した。
他に居た客がちらりとこちらを一瞥する。
彼らの視線の内に迷惑そうな感情が溶けているのには気づかないフリで、ボクは少し縮こまった。
「五十鈴、超強いのに。意外だ…」
GTに一緒に行ってもらって気づいたこと。
凄く強くて場慣れしている感じがしてたから、
てっきり、彼はこのガッコに長く居るのかと思ってたんだけど、なんとボクとほぼ同時期の編入と言うではないか。
「なんでそんなに強いんだよ」
ボクが不思議に思ってそう尋ねると
「GTが楽しくて、ついつい全部の場所、行っちゃったんだよね~」
えへへ、と笑って、五十鈴は頭を掻いた。
「その分、前期中間テストの…特に数学は悲惨で…!」
五十鈴は少し大げさにため息をつき、がっくりとテーブルに突っ伏した。
ボクは頬杖をしたまま、向かい合わせに座る彼の様子に「いひひ」と破顔し、
「ちょっとは勉強せぇよー」と悪態をついた。
それから目前に迫った次の試験のことや美術室、結社のことなんかにも話題は及んだ。
ふと時計を見ると、もう夕方。
ボクらは紅茶1杯で、どこまで居座る気だったんだろうと、店側のことを思ってちょっとぞっとした…
「あー。やっぱお喋りは面白いわー」
彼が嬉しそうに笑ったので、ボクも誘ってよかったなって思いつつ
「んじゃ、ぜひまた駄弁ろうぜ!」
と、すっかり氷も溶けて柔らかくなった紙コップを手に、席を立った。
posted by 渡月・トワヤ
at 16:47:59 │
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夕刻。
町並みからは、ぼちぼち夕餉の匂いが漂い出す頃。
ボクの方は一人分の夕食だからどうにでもなると気楽なもので、
文庫本を片手に、今日も屋上への扉を開いた。
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「んぁ?」
思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
いつもは無人のそこに、今日は珍しく先客が居たからだ。
藍色のショートヘア。
赤いヘアゴムで少し結わえた後ろ髪が、ぴょんと立っているから、
後ろ姿を見ただけで、すぐに誰だか判る。
フェンスにもたれて、遠く空を見上げていたのは、シェリ子だった。
「おぅ、シェリ子ー!こんな時間に珍しいな」
ボクのその声で気づき、くるっと元気良く振り返った彼女に、
ボクは軽く手を挙げてひらひらっと手を振った。
「あっ、トワちんだ♪こんにちはー!」
そう言うと、シェリ子は元気いっぱいの笑顔をくれる。
彼女の背中に広がる青空と相まって、それは真夏の太陽そのもので、
彼女のこういうところが、いかにも彼女らしくて、ボクは可愛いなぁと思う。
彼女の隣まで歩を進め、同じようにフェンスにもたれた。
吹き上げる風がぶわっとボクの髪を掻っ攫い、ボクは思わず目を細める。
「何してたん?」
己だってぼんやりと風に吹かれるためだけに上がってきたようなものなのに、
(それではあまりにアホすぎると本を1冊持ってきてはいたけれど)
愚問を投げかけてしまう。
シェリ子は、そんな問いで気分を害する様子もなく
「空を見てたんだー」
と言い屈託なく笑った。
「シェリ子は、空が好き?」
持ってきた文庫本が手持ち無沙汰になっちまったので、
ズボンの尻ポケットにその本をねじ込みながら訊ねた。
「うん、好きだよ!
青空も好きだし、夕焼けも。あと夕暮れ後の暗くなった空も好き!」
そんな彼女の言葉に頷きながら、
「ボクも空は好き。夕闇のグラデーションなんて、とても綺麗だよね。
秋は空が高くなるし…この場所、ボクの気に入りの場所なんだぜ」
秘密を知られた小学生みたく、ボクはにひひっと悪戯っぽく笑う。
「トワちんのお気に入りの場所だったのかぁ…ね、ボクもたまに来てもいい?」
シェリ子が少し遠慮がちにそんなことを訊ねるから。
フェンスに指を掛けて、ボクはぐいっと両腕を伸ばして背を反らす。
「そりゃ此処はボクの気に入りだけど、シェリ子の場所でもあるんだぜ?
いつでも好きに来たら良い。ボクに断ることなんてないのさ」
風に髪の毛が躍るのが気持ち良くて、ボクは空を仰ぎ見て言った。
「そっかぁ…嬉しいなぁ♪」
ボクの横顔を見上げて、シェリ子も笑い、同じように空を仰ぐ。
二人で空を見上げてたら、急に思い出したことがある。
誰に言われたか忘れたけれど
いつか、シェリ子とボクが姉妹みたいだ、って、そう言われたっけ。
あぁ、こういうトコも似てるのかね。
なんだかそれがやけに楽しくて、
ボクはへらへらっと笑ったまま、刻々と変わっていく空の表情を眺めていた。
posted by 渡月・トワヤ
at 15:29:36 │
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ガッコが終わったその足でボクは、図書館に来た。
鎌倉駅から歩いて10分もかからない場所にある、中央図書館。
鎌倉には図書館が5つもあるらしい。
大体の借り物はガッコの図書館で済ませられるけれど、たまには違う場所にも行きたいな、と思って。
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時折、陽射しは雲に遮られるし、真夏の暑さに比べたらかなりマシだけれど、
歩いているだけで、首すじから汗が滴ってくる。
今日は帰ったら、何より先にシャワーでも浴びよう…
しかし、図書館の中は、エアコンが効いていて快適そのものだった。
「中央」と冠しているだけあり、たぶん鎌倉の図書館の中で規模は一番大きいのだろう。
蔵書の数も半端なさそうだし、検索用のPCや、デジタルデータにされた資料の閲覧用のPCもかなりの数がありそうだ。
でもボクは、デジタルに変換されたデータに興味はないし、
案内板を眺め、目的の棚へ向かう。
小説にもかなり後ろ髪をひかれるけれど、今日のボクの目的は画集なのだ。
とある画家の画集を見たくなり、ここまで来た。
この画家の名前は、先日、シノとご飯を一緒した際に教えてもらったもの。
「ねぇさん、絵は好き?」
と見せてくれた画集がその画家のもので、
絵だから音なんてなくて当たり前なのだけれど、
無音とは違う静寂、凛とした森の空気さえ流れ出してくるようで、
ボクは衝撃を受けた。
知らないことは、まだまだ多い。もっともっと知りたい。
シノから聞いた画家の名前を手帳に書き記して、
「今度画集でも探してみよう…」
そう呟いたボクを、シノは嬉しそうに見ていたっけ。
「美術・芸術」の札がかかったエリア。
普段はあまり、このエリアにお世話になることがないから、
果たしてここに、その画家の画集があるのか。
(ここまで来た時に、「あぁ、入り口横の検索システムを使えば良かった!」と気づいたが後の祭り)
西洋・東洋…と並んでいる。
仏教美術?などの資料もあるみたい。
写真も此処に含まれるのかぁ。
並ぶ背表紙に、ついつい気を取られてしまう。
アレも見てみたい、コレも面白そう。
ボクの中の、悪い虫は今日も元気いっぱいだ!
あ…。
背表紙を軽くなぞる人差し指が、止まる。
あった。
しかも、何冊…!
どれから見ようかなぁとちょっと迷いながら1冊の画集を取り出した。
手近な席に座って、ぱらりとページを繰れば、
やはり感じられる静寂。物悲しさ。
それらをただあるがまま、静かに受け入れているような、気高さ。
写真とは違う。
けれども今まさに、ボクはこの風景の中に立ち、
自分の存在が如何に小さいかを、示されているような、
それでいて、胸にすぅっと何かが通ってクリアになるような、不思議な感覚を覚える。
あぁ、心が洗われるとは、こういうことか。
それから閉館ぎりぎりまで、あるだけの画集を眺めてボクは過ごした。
色々と面倒そうだったから、貸し出し用の登録カードは作らず、手ぶらで帰宅したけれど、
得るものがとてもたくさんあった素敵な一日になったと、思う。
posted by 渡月・トワヤ
at 12:39:46 │
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近いうちにまた、図書館に行こうっと!
ずぅっと気になってた作家さんが居るけれど
著書の数がハンパないから、躊躇してたんだよね…
ハマったら、全部揃えたくなるじゃんか!
でもやっぱ、読みたい。
まずは図書館で借りて、あとは野となれ山となれー!
posted by 渡月・トワヤ
at 23:59:59 │
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まずは強くならなくちゃ。
すべてはそこから始まるのだ。
というワケで、また友人知人をランダムにGTツアーへご案内!
むしろ、一緒してなー!