posted by 渡月・トワヤ
at 01:12:34 │
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夜の冷え込みに負けないように湯船にゆっくり浸かって、ボクは考えを巡らせている。
ボクにできること、何があるだろうか…と。
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posted by 渡月・トワヤ
at 22:43:50 │
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運動会の終わった校庭。
キャンプファイヤーの炎が上がれば、「わぁ」と歓声があがり、恒例のフォークダンスの始まりだ。
ボクはいち早く彼を見つけ、彼が人ごみの中で、きょろきょろしている姿を見ていた。(いつ気づくかな~)なんて考えて些かにまにましながら。
彼がボクに気づくと同時に、ボクはひときわ明るく笑って手を振り「ここだよ、だいち!」と存在アピール。
彼もぱっと顔を綻ばせ、ボクの元へと駆け寄ってくれる。
「トワヤ~。一緒に踊ろう♪」
彼の言に頷く代わりに。
差し出された手に、手を重ねた。
「リードはできないけどな」
そう言って照れ笑う彼だけれど、それは謙遜と言うものだろう。実際、踊っている間じゅう、二人の足がもつれることは一度もなかった。上手にエスコート(もしくはフォロー)してくれるのがいかにも彼らしさというもの。
「そんなことないよ」
ボクは彼ににっこり微笑みかけ、彼に動きのすべてをゆだねている。
「それにな──」
彼のリードが上手かろうと下手だろうと、それはボクにとって瑣末なことだった。
「ボクはだいちとこうして踊りたかったんだから、それを叶えてもらえて、ボクは幸せだよ」
つまりは、そういうことだ。
ボクは彼と踊りたかった。
忙しい時間をやりくりして、ボクの元へと駆けつけてくれた彼。
彼のその想いに、ボクは胸が熱くなる。
キャンプファイヤーの火に照らされて、じわっとした熱が目を覆う。
ボクは炎から少し目を逸らし、光と闇の溶け合うあたりで視線を泳がせた。すると踊る人の輪の中に、寮のセンパイカップルの姿が見えた。
さすがに堂に入るというか、板につくというか。二人の呼吸はここから見ていてもぴったりのようだ。
彼らの睦まじさはボクの憧れだ。
たとえ、ボクらはボクらの世界を二人だけの色に染めあげるとしても。
ボクらもいつか、あんなふうになりたいな、って思うんだ。
posted by 渡月・トワヤ
at 20:27:51 │
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運動会が終わった運動場。
赤々と燃えるキャンプファイヤーの炎が夜空めがけてのぼっていく。
ボクは人の輪から少し離れた場所で、その炎を眺めながら彼を待っていた。
時折きょろきょろと、周囲を探すことも、抜かりなく。
でも大丈夫。
彼の姿ならば、何処に居ても、ボクの目にはすぐ留まる。
「あっ!」
瞬間、ボクはぱっと顔を輝かせる。
「だいち、こっちこっち♪」
ボクは両腕を大きく振ってぴょんぴょんと飛びはねながら、彼を呼ぶのだった。
posted by 渡月・トワヤ
at 19:32:22 │
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天頂の月は半月。
二人で見上げるのは幾度めの、満ちていく月。
ボクらはいつものように手を繋いで、寮までの道を歩く。
沈む陽とともに気温はぐっと下がり、風は冷たくなる。自然、ボクらはどちらからともなく寄り添いあい、足元の蒼い影はひとつになった。
空には、星がちらちらとまたたきはじめる。
「…まぁ、メリハリつけて勉強頑張れよ」
秋になり、ボクが物思いに耽ることが増えるのを見透かしたように彼は言った。
「ん。勉強は、頑張ってるよ?」
知らず知らずに、ボクは少し唇をとがらせていた。
もともと勉強することは嫌いではない。
昨日まで解らなかった問題が今日はなぜかするりと解けたりすると軽く達成感も味わえるし、授業でとったノートを、自分で整理しながらカラーペンなどを使って清書する習慣はぶっちゃけ楽しくさえある。
長続きのコツは楽しむことだって、何かの本にも書いてあったしな。
けれど、走り続けてれば疲れるときだってあるのだ。
彼から「勉強がんばれ」と言われたときのボクの反応は、そのときのコンディションで二つに分かれる。
「うん、頑張るよ」とにっこり笑って頷ける日と、
「解ってるってば」と今日のように、反抗期よろしく唇をとがらせる日と。
ん、待てよ?
ボクは、いつの間にか自分が(自制はしつつも)他の誰にも見せない素直さで彼に接していたことに気づいてはっとする。
そして、こんな風に素直になれるのは、間違いなく彼のおかげだとも思っている。
いつだって、彼は言動一致だった。付き合う前から正面きって、どんなボクでも受け止めると言い、事実そうしてきてくれた。いろいろなことで臆病だったボクも、彼の包容力に直面しその大きさに幾度となく助けられて、彼にだけは心を許せるようになったんだと思う。
そうしたことのひとつひとつが、ボクらが目指す「ふたりのかたち」に近づいている証。ボクは心がほわっとぬくもるのを感じた。
さてしかし、今のボクは「頑張っているよ」と言いながら、不機嫌な顔をしている。
それは、受験勉強を頑張らないといけないことも、今が一番の頑張りどころだということもちゃんと自覚していながら、自分がどれだけ頑張っていると思っていても、所詮は自己満足の域を出ず、他に比べたらちっとも足りていないのではないかといった、不安と焦りとを毎日感じて足掻いていたからだった。
痛いトコを突かれると、人間、不機嫌になるとは良く言ったものだ。
気づけばボクは、ぶすーっとほおをふくらませ眉根を寄せていた。
彼はボクが拗ねようが何をしようがまったく動じず、空いたほうの手でボクの頭をぽむぽむと撫でて、やさしく微笑ってみせる。
こういうときの彼の飄々とした態度は、解っているうえですっとぼけているのか、解っていないのか、一見ハッキリしないのだ。以前のボクは、彼のそうした反応は、それ以上の深入りを拒否しているように感じられて、悲しくなっていたものだ。
けれど今は、悲しくなったりなどしない。
彼がそうしているのは、一線を画すどころか、彼がボクに寄り添い支えてくれているからに他ならないと気づいたからだ。
二人で過ごしてきた時間はまだまだ短いものだけれど、振り返れば二人で少しずつ集めてきたたからもので埋めつくされ、きらきらと輝いている。
今回も多分にもれず。
「勉強頑張れ」という彼のコトバとは裏腹に「ホラ、肩の力を抜いていけよ」と、頭をなでてくれた彼の手が伝えてくれている。
言われるまで気づいていなかった、力みすぎで強張っていた肩が彼によってすとんと落とされた感じだ。
ボクは、彼を見上げる。
「本当にありがとう。もうひと踏ん張りだから、頑張るね」
そうしてボクは、にっこり笑った。
ボクのひょっとこ顔、
今日はこれにて、おしまい。
posted by 渡月・トワヤ
at 23:53:37 │
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運動不足にならないための、ゴーストタウン通い。
ボクの隣には、いつももちろん彼がいる。
彼が隣に居てくれるだけで、ボクは「大丈夫だ」って思える。それは、何にも代えがたい安心感。
気高く強く、
やさしくて暖かく、
頼りがいがあって、
いつだってクールな彼。
恥ずかしい話だけれど、ボクは今でもしょっちゅう彼に見とれてしまう。
ボクの目には、彼が、きらきらと輝いて見えて。
同じ想いを分かち合ってくれる、そんな人と出逢えた奇跡。
彼の存在だけで、こんなにも満たされる心。
ボクが胸に描いてきた幸せが、今、彼の存在とともに叶えられていること。
夢なら、どうか覚めないで。
っていうか、夢じゃないよな?
ボクはそのたびごとにこっそり頬を抓っては、夢なんかじゃないことを確認している。
だからまぁ、なんだ。
GTから帰るボクの片側の頬が若干赤くなっていても、お気遣いなく。