posted by 渡月・トワヤ
at 00:40:02 │
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今日の分の勉強を終え、ボクはクローゼットから小さな籠を取り出した。
籠の中には、樹脂粘土が数種類と、ヘラ、はさみなどの道具が入れてある。ボクは今までも気分転換に時折、樹脂粘土を使って花を作っていた。ちゃんと習ったワケではないから、下手の横好きだけれど。
真っ白の粘土に砂粒ほどの黄色を混ぜて、淡いクリーム色にしたら、良く練って。
ほわほわの柔らかさになったら、ビー玉サイズにちぎって、掌を使いまぁるく薄く伸ばす。
それを25枚拵えて、半乾きになったところで、花の形に組み立てる。
ちょっとぐらい、不恰好でも気にしない。
花の形に形成できたら、傾いてしまったり、花びら同士がくっついてしまわないように注意しながら、乾燥と保管。
ボクは一人、愛おしい気持ちで、花を眺める。
やっぱり……うれしい。
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posted by 渡月・トワヤ
at 07:28:05 │
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登校時。
今日は、梅雨の晴れ間と呼ぶに相応しい天気になるらしい。暑くなりそうだ。
っつか、もうじゅうぶん暑いし……
汗は、否応なく吹き出す。
ボクは歩きながらふぃーと大きく息を吐いた。
自分の吐く息ですら熱風のように感じられて、イヤになる。
地上はほぼ無風。
だけれど、太陽が厚い雲に覆われているのがせめてもの救いだ。
これで日光に照らされちゃったら、きっとボク、干からびちゃうよ。
思わず空を仰いだボクはまるで、酸素の足りなくなった魚みたい。
そんなボクの視界に、天使の梯子。
灰色の雲が途切れ、その縁取りは淡いサーモンピンクの輝き。そこから覗くわずかな青はまだ色浅く。その雲の隙間から、幾筋もの光の柱が放射状に地上へ向かって伸びているその光景は、いつか見た風景画のような美しさだった。
ボクは思わず見とれる。
時間が止まったように感じられた。
けれど、確実に時は流れている。それは、雲が流れる速さ。
心が、
ゆらりと揺れる。
瞳が、
じわりと潤う。
少し、焦る。
この光景を独り占めするなんて勿体ないけれど、今、ボクはひとりだ。
こんなときあなたが隣に居たら……言葉に出来ないこんな気持ちも、分かち合えるのかな。
posted by 渡月・トワヤ
at 23:59:27 │
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頭の中を、疑問符がぐるぐる回る。
何色がすき?
音楽を聴くのは好き?
聴くのはどんな曲?
どんな些細なことでもいい。
ボクの知らない、あなたを教えてほしくって。
本は好き?
この花の名前、知ってる?
コーヒーと紅茶は、どちらが好き?
風の強い日には、何をする?
なのに
その笑顔に会えたら、全部、どうでもよくなっちゃう不思議。
posted by 渡月・トワヤ
at 09:30:30 │
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週末の朝。
午後からは図書館に行くつもりでいるけれど、午前中は予定が入ってなくて、自室に帰って、ひとり。
とあるアーティストのアコースティックライブのCDを聴きながら、先日届いた手紙を何度も開いては読み返していた。
読むたびに、嬉しさがこみ上げて、表情が緩む。
と同時に少し胸が締めつけられるのは、ボクが、そのことに気づいてしまったからだ。
誰がどう思おうと、あるいは「それは違うよ」と否定しても、ボクは自分の直感を信じる。
あなたとボクは、きっと似ている。
ボクは、今より少し先の自分を想像した。
胸をすり抜ける予感が、間違いなく現実のものになるだろうと確信する。
止まっていた心が、動き出したんだ。
それは間違いなく、あなたのおかげなんだよ。
posted by 渡月・トワヤ
at 15:41:46 │
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放課後。
梅雨の晴れ間。高くて青い空が広がっている。
ボクは学校の屋上で、手すりにもたれていた。
時折吹く風は木立の葉をそよがせてるけれど、焼け石に水というか……ぬるいし。
夏至を過ぎたばかりの太陽は夕方になっても未だ強く、見下ろした校庭がその陽射しに白く反射する。
寝不足気味の目には些か眩しすぎてボクは目を細めた。
いろんなことが一気に起こって、嬉しいって気持ちが残った。
きっと大丈夫。
殊更ゆっくりと瞬きをして。
うん、大丈夫。
だから、ありがとう、と届くように。