posted by 渡月・トワヤ
at 16:26:12 │
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恭一から、ホワイトデーに贈られた指輪。
学校に居るときはさすがに外しているけれど、それ以外はいつも身につけている。
もちろん、眠るときも一緒だ。
明かりを消して布団に入り、掛け布団を鼻まで引っ張りあげる。
目を閉じたら、そっと指輪に触れ、すべすべした石の表面を指先で撫でる。
それは、ささやかなボクの日課。
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自室でのんびりとミルクティを片手に、邦画を観ていた。
実はもう、この映画は何度も観ているし、原作も図書館で何度か借りて読んでいるので、先行きは判りきっているのだけれど。
ハッピーエンドと言い切れないこの映画の結末。そういう類のものはあまり得意じゃなく、普段はほとんど観ないのだけれど、これは観るたびにドキドキしちゃって新しい発見もあるし、いろいろと考えさせられるのが良くて。まぁ、ぶっちゃけ、好きな俳優が主演を務めているのが観るきっかけだったし、何度も繰り返し観る理由の最たるものなんだけどな!
そんな感じで、今日も無事にエンドロールを見納め、ドキドキが収まらないまま布団に入ったけれど、この指輪に嵌められた石に触れると、心に涼しい風が吹き、そして凪ぐ。
すべらかでひんやりした感触のせい?
石の淡い青灰色が、吸い込まれるような空の青に似ているのも、そう思わせる要因のひとつかもしれない。
だけれど、ボクにはボクだけの、日課にするだけの理由がある。
あれは、この指輪をもらって、わりとすぐの晩のことだった。
いつもと同じように石に触れたとき、ふと、ボクは気づいてしまったのだ。
その石に触れると感じる穏やかさは、恭一が傍に居るときと同じ感覚だということに。
彼がいつだったか言ってくれた言葉が耳に蘇り、ああ、彼が言ったことは本当だったのだと、自然に笑みがこぼれた。
いつだって、恭一が守ってくれている。
だからボクは今夜も、穏やかに微笑みながら、
幸福な自分を抱きしめて、眠りを迎えることができるんだ。
posted by 渡月・トワヤ
at 23:51:34 │
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昨日の夕方見つけたハクモクレン。
木の皮のような硬い蕾を割って出てきた花弁は、実は、まだ開花には至っていなかった。
ただ、遠目からはそこまで確認できなかったし、3日のブランクがあったのを忘れていたから、
まるで一夜のうちに様変わりしたような錯覚を覚え、大声を出してしまったというワケだ。
そうだな。
神さまがもし居るのなら、蕾の代わりに、真っ白の鳥をちょこんと乗せていって、皆を驚かせるためのイタズラをしたんじゃないか、と。
そんな感じ。(実際「おぉぉ!」と驚かされたボク)
夜。
ボクの幸運度回復にGTへ向かった際、先日銀誓館に編入したばかりの弟も連れ出した。
「コータの戦いぶりがどんななのか、しっかり見ててやっからな」
そう言って笑うと
「まだあんまり慣れちょらんけぇ、判定は甘めで!」
と拝んでいた。
ボクはニヤニヤして、それには何も答えず。
正直なところ、ボクはコータがやりやすいようにやってれば、それでいいと思っている。
強制したり押し付けたりするのは、好きじゃない。
「姉ちゃんはいつ覚醒したそ?」
GTの最奥を目指している途中、コータがそう訊ねてきた。
「んー。覚えてねぇや」
「えー!?」
明らかに不満の声をあげる。
「覚えてないのは本当だよ。幼稚園ン時にはもう勝手に、旅人の外套なんて発動してたしな」
こうして、弟と自分の能力のことについて話をすることになるなんて思いもしなかったなぁなんて、感慨深く。
「…へぇ。ちっとも、気付かんかったよ」
「そりゃそうだろ。一般人の目には、旅人の外套発動イコール見えなくなるってことだもん」
「あぁ、そうか」と彼は頷いて、ごく自然な調子で「姉ちゃんも大変だったんだなぁ」と呟いた。
…わかったようなことを言うようになったなぁ。
ボクは何も言わず、あいまいに笑った。
帰り道、吐く息は白かったけれど、なんとなくふらふらとそのまま散歩をする。
足は勝手に紫陽花会館へ向かうが、そのままにした。
まぁ、もうちょっと荷物もあるし、CDの入った段ボールぐらいは持って帰ろうか、とも思って。
昼間と夜とは、風景って、すごく違う。
あのハクモクレンの木が、月明かりに青白く照らされているのが見えた。
あ、と思い、足が止まる。
あの白い蕾が皆一様に、まっすぐ空に向かって枝に並んでいる。
その木立の様子は、さながら、夜道をぼんやりと照らす大きくて立派な燭台に見えた。
ボクは、不思議の国にでも迷い込んじゃったんだろうか。それか、ガリバー旅行記の巨人の国。
小さいころ物語で読んだ小人たちは、人間の暮らしとであった時、こんな風に思ったのかなぁ。
弟と久しぶりに直接話したせいか、自分が小さいころの(主に読んだ絵本や童話の)記憶が色々と蘇ってくるようだった。
自分がおとぎ話の世界に迷い込んだような、なんだか不思議な気持ちになって、ボクはしばらくハクモクレンの燭台を眺めていた。
posted by 渡月・トワヤ
at 16:45:57 │
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この連休の間に、ハクモクレンが、一斉に開花していた。
「おぉぉー!」
いつもの、下校途中の道。
遠目にでも、その開花には気づくことができる。
ボクが唐突に大きな声を出すもんだから、さすがの恭一も驚いたに違いない。
驚かせてごめん、と、ボクは進行方向を指差した。
「ほら、ね、咲いてたんだよ。つい大声を出しちまった」
ボクの指差す方向を確かめ、なるほど、と頷き、
「でも、いきなり大声を出すなよ。心臓に悪いからな」
と、ボクの額を軽く小突いた。
「ん、ごめん。気をつけるよ」
ボクはえへへと笑う。
それにしても、あんなに咲いちゃって大丈夫なのかなぁ…
今朝みた天気予報では、明日からまた、冬型の気圧配置になるって言ってたから、
寒さに凍えてしまわないか、ちょっと心配。
posted by 渡月・トワヤ
at 01:05:32 │
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去年の夏からずっと一緒だったあおと、しばらくのあいだ、バイバイ。
ボクの力では、充分に能力を活かしてあげられなかったから。
もうちょっとボクが強くなったら、また一緒してね。
いっぱい、ボクのこと、護ってくれてありがとう。
だから、ちょっとだけ、おやすみ。
posted by 渡月・トワヤ
at 16:58:23 │
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三寒四温。
週の中ごろに寒さがぶり返し(場所によっては、雪が降ったとか!)
週末にかけては、コートも不要なくらいの、春の陽気が戻ってきて、。
先週今週は、ずっとそんな感じで。
2年生の最後のテストも無事に終わった。
正直なところを言えば、ボクの成績は、恭一と付き合いだしてから、右肩上がりだ。
彼に出会って、自分の目指すべき場所がはっきりとした。目標が定まれば、難しいことは要らない。そこへ向かって全力で走ればいいからだ。
もちろん、恭一も一緒に(まぁ、成績に関して言えば、ボクの少し前をだけど)走り続けてくれている。
時折、ボクがちゃんとついてきているか振り返ってくれるオプションもついている。
こうして一緒に励ましあい、刺激し合える相手でいてくれる彼に、心から感謝している。
さて、かねてから予定していたとおり、紫陽花会館から白銀寮への引っ越しもぼちぼち進んでいる。
学校からの帰りに元の部屋へ立ち寄り(もちろん恭一を連れていき)二人で荷物を抱えて白銀寮へ帰る、といった具合で、牛歩の如き地道で地味な引っ越し作業。
カナメが運送業者の手配を申し出てくれたけれど、お金がもったいないからと断った。それに、少しずつ物を持っていく作業、やってみると案外、楽しかったのだ。
新しい生活への移行期。
物事に追われるのが大嫌いでマイペースなボクは、自分のペースで引っ越しや片づけをやっていきたい。「早くしろ」と追い立てられると一気に気分を削がれ、まるっと放棄してしまう自信があるし…
だから、カナメや恭一が、意識無意識関わらず、ボクのそういうところを尊重してくれているのだと思えて、本当にありがたかった。
今日も紫陽花会館への道を、恭一と手を繋ぎながら歩いていた。
日ごと、陽は長くなり、今の季節は特に、向かっている方角の遠く、稜線の向こうへと太陽が沈みはじめる時間と下校時刻が重なるため、周囲がすべてオレンジの光に包まれはじめる。
隣を行く恭一のメガネが時折夕陽の光を反射してきらっとするのを見るのが、好きだ。
あんまり直視すると反射した光に瞳孔を直撃されてしまうし、恭一を見ていることがバレてしまうので、要注意。あくまで、こそこs……ごほっ。
実質、2年通った通学路。
どこに何の木があるのか、特にボクの好きな木蓮がどこに生えているかは、もうばっちり覚えている。
去年もそうだったけれど、春一番が吹くころからこっち、ボクは必ず木蓮の木を見上げ、つぼみの膨らみを確認してしまう。
いつごろ咲くかな。
実際は、まだまだ、なのだろうけど。
今日も同じ場所で、ボクは同じように木を見上げる。
隣を歩く恭一も、最初こそ「どうしたんだ?」と尋ねてきたけれど、それから毎日のようにボクがそこで木を見上げるもんだから、もうとっくに慣れっこになっているし、時々は、一緒に見上げたりもする。
ただ、ボクより見上げる時間は少なくて、ボクが納得して視線を前方へ戻すまでの時間、ボクが躓いたりしないように、配慮してくれてるようだ。
今日も満足いくまでつぼみの状態を眺めたら、
「へへっ」
ボクは笑って恭一を見、彼もそれに応えてくれて、ボクらは夕陽に向かって、また歩き始める。