posted by 渡月・トワヤ
at 12:46:24 │
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あと1週間ほどで、彼の誕生日だ。
ボクは自室でひとり、カタログを眺めながら
今年は何をあげようかなぁ、なんて考えている。
きっとボクがあげるものなら「何でもいい」って言うんだろうな・・・
その言葉はちょっと照れくさくて、でもホントはすごく嬉しくて。
カタログを眺めながら、ちょっとにまにましてしまっていた。
はっとわれに返ったボクはぐっと口元を引き締めて、カタログにドッグイアを拵えていく。
見た目も大事だけれど、せっかくだから長く使ってもらえるものがいい。
アイスカフェオレの氷がグラスの中で溶け、カランと音を立てた。
プレゼントを選ぶ時間も、贈り物のうちというけれど。
彼のよろこぶ顔が見たい。
ただそれだけを想ってこんなふうに流れる時間は、ボクに幸せを与えてくれる。
それってまるで、彼がくれるプレゼントみたいだ。
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posted by 渡月・トワヤ
at 13:29:33 │
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せっかくの夏休みだけれど、こうも暑い日が続くと気分が萎える。海に面したこの街は、それでも都市圏なんかと比べると風もあるし過ごしやすいはずだけれど、暑いのはやっぱりちょっとニガテだ。
夏休みの課題は、大学だからと言っても遊んでるばっかじゃないんだなぁ…というくらい出ていて、ちょっとガッカr……いやなんでもない。
まぁともかくそれは朝早く起きて涼しいうちにやることに決めていて、もちろん、今日の予定分はもう終わらせているから、こうして自室でごろんごろんしているワケだけども、いいかげん飽きてきたので図書館へ行くことにした。
図書館は涼しいし、お金もかからない。それに図書館の独特のにおいも好きだし、重くてとても持ち運べない美術全集も百科事典も(そもそもこういうものは貸し出し不可だったりするけれど)あって、気軽に手に取ることができる。
本に囲まれるしあわせ、ボクにとってはパラダイスなのだ。
そうと決まれば、こうしちゃいられない。
ボクはむくっと起き上がり、いそいそとおでかけ着に着替える。
晴れ渡る空の下。海の方角には入道雲が見える。
ミンミンミンだか、ジージージーだか。とにかくさまざまなセミの声が降りしきる街路樹をくぐり抜けて図書館へ到着した昼下がり。
なるたけ日陰を選んで歩いたものの、やはり暑いのに代わりはなくて。
今ボクはエアコンの効いたエントランスで吹き出る汗を拭い、ペットボトルのお茶を飲みつつ、クールダウンしている。
ふと、去年の今頃も暑い暑いと言いながら此処に来て、しかもこんなふうにベンチに座っていたような気がした。そのことがちょっとだけ可笑しくてボクはふっと笑う。
汗もだいぶ引いたし、さて本を読みに行こうか。
ボクが公共の場で読む本に、小説は向かない。
そもそもボクは涙腺が弱いから、うっかり感激でもしようものなら、涙と鼻水とで酷いことになってしまう。公衆の面前で泣けるほど、ボクはもうコドモじゃない。
だから、こういうときに読むのは、エッセイや星座や空の科学的な読本(できればフルカラーの写真のものが好ましい)であるとか、芸術家の作品集など。持ち帰るのに苦労しそうな分厚い本も、ここぞとばかりに手に取ってページをめくる。
今日は、とある女性作家のエッセイを手にし、適当な椅子に腰掛けて、ぱらりとページをめくる。
そしてある一文に釘付けになり、何度も何度も視線がその文章の上を往復した。ボクが常々思っている自分の弱さ──それでも最近はずいぶんそのことで思い悩むことはなくなったけれど──をずばりと指摘され、それをポジティブなものに変える文章だったからだ。
うんうん、本当にそうだよね。
ボクはその活字を指でそっとなぞりながら、この言葉を胸に刻んだ。
あとで、手帳に記しておこう。
そして、もっと自分を大事にしようって、思ったんだ。
posted by 渡月・トワヤ
at 23:18:31 │
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先日のラストバトル。
この世界に対する脅威は拭えたものの、ボクが個人的にちょっとしょんぼりしていたとき
「ドンマイだぜ、にー…ねーちゃん」
と励ましてくれたのは、出会いからこっち、ずっとボクのことを「にーちゃん」と呼んでいた心の弟だった。
彼も、Dランサーと共に此処とは違う宇宙へと旅立っていった一人。
だから結局、それが彼と言葉を交わした最後になっちまったけれど。
とりあえずボクが女だということが理解ってもらえたようでよかった(←
勝利の余韻に浸る間もなくDランサーを如何とするかの選択を各々が選んだ結果だったから、それについてどうこう言うつもりはない。
ボクらに与えられた時間は短くて、
「ちょっと買い物に行ってくる」とでも言うような気楽さで手を振った彼に、だからボクも気楽な気持ちで「元気でな」と手を振ってしまったことだけが、ちょっと心残りと言えなくもない。
まぁでも、選んだ答えに後悔なんかせず、旅立った先で幸せに過ごしてくれたらいいなぁと、空を見上げるたびに思う。
posted by 渡月・トワヤ
at 22:56:50 │
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「…とわ、随分強くなったんだなぁ」
戦いが終わった後、微笑みながらそう言って頭を撫でてくれた、おおきな手。
「うん」
ボクは一言頷いて、少しだけ俯いた。
頭に載せられたてのひらと、ボクへそそがれるやわらかな視線が、少しくすぐったくて。
でも、そうやって彼から頭を撫でられるのが、ボクはだいすきで。
最後の戦いの終わりにこうして彼と寄り添うように自分の足で立っていられたことが嬉しくて。
いくらボクの腕っぷしが強くなろうとも。
彼に守られているという信頼感に変わりはなくて。
ボクは心から安堵している自分を感じていた。
ボクの瞳は、表面張力をぎりぎりのところで保っている。
瞼を動かすと、こぼれてしまいそうだから、俯いたまま。
とびきりの笑顔を見せたいから、
もう少しだけ、こうして傍で待っててな?
posted by 渡月・トワヤ
at 23:56:12 │
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明日は銀誓館にとっての『ラストバトル』になる、らしい。
(背後がガンバってくれたおかげで、イレギュラーな事態さえ起きなければ)ボクは全日の参加が可能になった。
この戦いが終わったら。
いわゆる「普通」の短大生になるのだろうか。
同じ学部の子と他愛もない話をし、
何かサークルにでも入って、
夢に向かっての資格取得を目指しつつ、もっと実務的なバイトをやり、
単位を落とすこともなく無事に卒業して、
どこかのカフェに就職して独立し、そしていつか──(ごにょごにょ)
そもそも、今のボクにとっては今の生活がすでに「普通」だ。
実際、単位を落とすようなヘマは今のところしていない(と思う)し、バイトはちょっと人には言えない感じだけれど(なんたってゴーストタウン通いだもんな)恋だって勉強だって、好きな本を読むことだって全力でやってる。
そうなると、いったい何が「普通」なんだろう?
考えてもいっかなわからないから、今は明日の勝利だけを信じ、全力を傾けよう。
いろいろと考えるのは、戦いが終わってからでいいさね。