posted by 渡月・トワヤ
at 23:30:57 │
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淹れておいたジャスミンティは、もうすっかり冷めてしまっていて、とても冷え込んでいる今夜を物語っているようだ。
ボクはひざかけをかけなおし、読みかけの本に再び目を落とす。
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どうして、秋の夜というのは長く感じられるのだろう。
虫たちの声が消え、代わりに冬の足音が聞こえてきそうな晩秋であろうと、長いものは長いと感じる。
…恭一は今ごろ、何をしてるかな。
ふっと浮かんだ笑顔。
ボクはこうして一人でいろんなことを考えるたびに、自分の心の中にいつも彼の存在が在るのだと感じずにはいられない。
寄り添って通りすぎた2ヶ月という時間はほんとうにあっという間で、それなのに16年というボクの今までの人生の中で一番きらきらと眩しく輝いている。
風渡る、雲ひとつない青空も。
ページを繰る音だけが時折聞こえる夕暮れの図書館も。
見渡す限り、秋桜が咲く野原も。
こうして、想いを馳せる秋の夜長も。
ひとつひとつが色鮮やかにボクの記憶に焼き付いている。
それは全部、彼のおかげなのだと思う。
逢いたい。
一目でいいから、顔を見て、笑いあいたい。
彼も今、同じように思ってくれていたらいいなって、思う。
posted by 渡月・トワヤ
at 23:59:03 │
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取り立てて、なんにもしてないのに、
二人で過ごす時間は、どうしてこんなにあっという間に過ぎてしまうのだろうか。
おやすみを言うときは、決まって ちょっと寂しくなる。
まるで、自分のなかのなにかが、欠けてしまうみたいな。
またすぐに、
すぐに、
きっとすぐに逢えるよね。
だから笑って手を振るよ。
posted by 渡月・トワヤ
at 03:43:49 │
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ボクには夢がある。
大きな声じゃ言えないし、
まだ口に出すのも、憚られてしまうけれど。
いつか、そうなったらいいな、って強く思う。
しあわせは、過去にはない。
今と未来にあるものだと言ったのは、果たして誰だったか。
ボクは、ボク自身の将来を夢見るとき、
胸が粟立って、しあわせを確信するんだ。
ボクのしあわせは、
ボクのゆめは、
ボク自身が決める。
それは、ボクの自由、そのものなのだと思う。
posted by 渡月・トワヤ
at 17:00:46 │
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土曜日の午後。
予定も特になく、なんとなく足を運んだ図書館。
ここ1ヶ月ほど、借りたい本があって何度も足を運んだのだけれど、どういうわけかタイミングが合わずにいつも貸し出し中。
今日こそは…!
と勇んで向かった資料検索用のPCの前で、今日もボクは小さくため息をついた。
かといって、ここまで来て手ぶらというのもつまらない。
なんてったって、ここは本の海なんだ。
借りたい本がないのなら、新しい出会いを探せばいい。
(ちょっとだけ、博打みたい)
ボクはそう決めて、ふらふらとさまざまなジャンルの書棚を渡り歩いた。
…うっかり思想や宗教の棚に向かったときは、さすがにびっくりしちゃったけれど。
国内外の小説。
エッセイ。
詩や俳句、短歌。
美術や旅行関係。
児童文学もバカにできない。
ボクが小学校のころから知っている…実際はもっともっと昔から綿々と読み続けられてきた…物語には、やはりそれ相応の価値がある。
今日ボクが選んだ数冊の本は、
どれも読んだことがない…名前すら知らない作家のものがほとんどだ。
決め手は、装丁の雰囲気。
やさしくてあたたかい絵で美しく飾られた本は、手に持つだけでしあわせな気持ちにさせてくれる。
…ボクがそういう気持ちになっているから、かなぁ?
晩秋の夕陽は、つるべ落としだ。
図書館を一歩出て、風の冷たさに思わず首を竦めてしまった。
日中は暖かかっただけに、なおさら冷えるように思うのかもしれない。
うーん。
今日の晩飯は、茸とベーコン、根菜を使ってポトフを作ろう。
たっぷりのスープでコトコト煮ている間も本を読めるし…
きっと余るから、明日の朝も、また食えばいい。
うんうん!
自分の思いつきにホクホク顔で、ボクは家路を急いだ。
posted by 渡月・トワヤ
at 16:40:31 │
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エレベーターにて。
「R」を押す。
薄暗がりのエレベーターホール。
目の前の鉄製のドアを開けると、瞬間、ボクの額にかかった髪の毛を、突風が薙ぎ払う。
目を射る陽光のまぶしさと、その風の強さに、思わず瞳をぎゅっと閉じる。
いつもこんな感じで始まるボクの屋上時間。
ただ、いつもと違うのは、隣に恭一がいるということ。
昼休みに、弁当をつつきながら見上げた空の色が高くて、どうしても此処へ、恭一を連れてきたくなった。
放課後の予定は特に決めていなかったし、今日もまた、ボクのワガママに彼を付き合わせる形になったけど、もう、これがボクらのスタイルだと言い切っちゃって、良いかもしれない。
防水化工の施された緑色の床。
エレベーターホールの上部には給水槽が設置され、出口の左手の壁側にはベンチがおかれている。
「へぇ…此処が……」
恭一は、ぐるり見回して、ひとりごちる。
「眺めは抜群だろ」
フェンスまで駆け寄って彼を振り返り、
「風はちょっと強いけどね」
へへっと、満面笑顔。強く吹く風も、ボクにとっては心地よいのだけれど、彼には少しキツかったかもしれない。
「ああ。確かに眺めがいいね」
ゆっくりと歩を進めていた彼もそう頷いて、ボクの隣に立ち、遠く目を細めた。
彼の、手に触れる。
やわらかく手を繋ぎあう。
もう、ボクらにとって、なんの違和感も生まれない一連の仕種。ボクは、手のぬくもりに心から安堵する。
「いつか、此処からの夕陽の見事を、恭一と眺めたかったほよ」
「……そうか」
空は徐々に、オレンジのグラデーションに染まる。
ボクらは、オレンジに照らされる。
きみの空色の瞳にも、夕焼けが映ってる。