posted by 渡月・トワヤ
at 16:09:52 │
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* SWEEEETed *では、ハロウィンの準備に皆、右往左往。
皆で、和気藹々とお菓子の家を作ったり、南瓜提灯やプリンを作ったり。
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ハルカは
「家を建てるには、土地が必要ネ!」
と言って、どこで焼いてきたのか、60センチ四方のでっかくて分厚いスポンジケーキを持ってきた。
まいおも、ハロウィンらしい、たとえばこうもりや黒猫、おばけの形のお菓子を仕入れてきている。
いったい、どこで見つけてくるんだろうなぁ、と感心しきり。
ボクも、オレンジ色の南瓜をくりぬいて、提灯を作ろうかな。
どうせなら一緒がいいから、と恭一も誘ってみた。
「あんまり、手先は器用じゃないんだけど……」
と少し遠慮がちな彼の手を引っぱって
「そのほうが個性があって良いじゃん♪」
ボクは笑った。
先に来ていたメンバーの手によって何個か作られた提灯が既にテーブルに並んでいる。
「へぇ…可愛いね!」
ボクはひとつずつ手にとって、それを眺めてみる。
同じような表情のもあるけれど、そこはやはり手作りのよさで。
目の角度、口の大きさもそれぞれ少しずつ違って、同じものはひとつとしてないんだね。
やっぱり最初に作るのは笑顔。それも、大きく口を開けたヤツがいい。
表情を決めたら鉛筆で軽くアタリを取り、えい、とナイフを突き立てる。
ボクはちょっとおっちょこちょいで大雑把だという自覚はあるから、ナイフを扱う時には慎重にしよう…。
隣に座る恭一の手元を見てみると、「不器用だ」と言ったあの言葉は謙遜ではなかったんだ…と思いながらも、それは、とても愛嬌のある表情。
恭一の真剣な面差しにも、ボクは好感を覚える。
「へぇ、上手く出来てるじゃん。可愛いと思うよ」
と声をかけて、
「……そうかな」
と少し困ったような顔をする恭一に、にっこり笑いかけた。
一緒に何かできるというのは、とても嬉しいことだね。
隣に恭一が居るから…本当はそれだけでも、ボクは十分に満足なのだけれど。
posted by 渡月・トワヤ
at 16:16:42 │
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人にはそれぞれ良いところがあり、違っていて当たり前。
個性なんて、放っておいても、出てくるもので、作るもんじゃない。
たとえ誰かから見れば、それが単なる我が儘にしか写らなくとも良い。
これがボクのやり方だから
「だから、どうした?」
と胸を張ればいいんだ。
SWEEEETedの庭先を散歩していて、そう思い至った。
金木犀の甘い香りに誘われるように思い出すのは昨日のこと。
ワガママであってはいけないという、自分への呪縛がはらりと解けたような。
あ、そういえば。と空を仰いだ。
「もっと、ワガママになったって良いのに」
と、ある人に言われたことを急に思い出した。
その人は、何気なく言ったのかもしれない。
けど、今なら、そう言われた理由が、いやになっちゃうぐらい理解る。
あぁ、そういうことだったのか…と、ボクは苦笑い。
あの時、その言葉の本当の意味に気づけなくて……ごめんね。
posted by 渡月・トワヤ
at 22:52:25 │
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運動会の熱気も未だ冷めやらぬ校庭。
…まぁ、熱気が冷めないのは当たり前かもしれない。
なにしろ校庭の真ん中では盛大にキャンプファイヤーが催されていて、その炎は夜空を焦がすのではないか、と思うほどの勢いで燃えあがり、ボクらを照らしているのだから。
去年の後夜祭。
まったく興味がなかったボクは、運動会が終わるとさっさと自室へ帰ったのだった。
だから、後夜祭がここまで盛大に行われていたなんて、知る由もなく。
キャンプファイヤーで踊った二人はカップルに…なんていう噂があるのも今年知ったこと。
そういわれてみれば。
去年の運動会の後に彼女が出来た友だちに馴れ初めを聞いたら
「気になってたから、フォークダンスに誘って…」なんてことを、言っていたっけ。
そして、今年。
恭一が一緒にフォークダンスを踊ってくれないかな、と誘ってくれた。
嬉しいような、恥ずかしいような…。
差し出された手に、そっと重ねる手。
「リズムに合わせて足を出せばいい」
そう言って、ボクにしか聞こえないように耳元で、右、左、と足運びを教えてくれる。
正直、恥ずかしがってる余裕なんてなかった…!
音楽に合わせて足を出すことだけで、もう必死なんだって!
(しかも超へっぴり腰…)
フォークダンスなんて初めて踊るから…などと、言い訳をしていれば
うっかり足を出し間違え、慌てて引っ込めた瞬間。
「……っ」
繋いだ手に走った、一瞬の緊張。
「わわ…ごめん!足踏んづけたよな!?」
こういうときに足を踏むのは、ベタな展開だけれど。
ますます慌てるボクに、恭一は「大丈夫だよ」と笑ってみせてくれた。
「時間はまだ、あるんだ」
恭一の声に、ボクは少しずつ、落ち着きを取り戻す。
フォークダンスって本当は、順繰りなのかもしれないけれど。
ボクらは、音楽が終わるまで、ずっと手を重ねたままだった。
──頬が熱いのはきっと、キャンプファイヤーが照らしている所為だからね。
posted by 渡月・トワヤ
at 23:59:59 │
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…ふぅ。。。
いたたまれない気持ちを抱えたまま、ボクは1冊の本を閉じた。
色々と、考えさせられる小説だった。
どこまでも救いが見えなくて。
暗く、冷え冷えと乾いてしまったような世界。
太陽が消えてしまった世界とは、こういう世界なのだろうか。
とかく、ハッピーエンドが好きなボクは、
この物語を読み進めるのに、えらく時間がかかってしまった。
ページを繰る手ですら先を望んでいないみたいに、ただ辛く重くて難儀した。
読み終えた今も、胸が痞えてしまったようで。
物語に引っ張られすぎているのは、重々承知。
でもしょうがない、これがボクだものな。
だから、次は、ハッピーエンドを求めよう。
自分が好きな話を再度読み返してもいいな。
えぇと。
その本はどこだっけな(自分の本棚を物色し始める
posted by 渡月・トワヤ
at 22:05:50 │
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先手を。
ジェットウィンドを見舞った直後、彼女の目が光ったのが見えた、気がした。
「…うぐ……がっ……!」
刹那、見えない鎌に体中を刻まれて、ボクはその場に倒れこんだ。
突風に散らされたらしい砂利が、口の中でざらざらとしている。
その砂利を吐き出すこともままならず、痛みに呻いたまま、大地に伏した。
かすんでいく視界。
痛みはズキズキと、ボクから正常な判断力を奪っていくようで。
この痛みは、彼女の心の痛みなのだろうか、と。
同情心は無用だと心に決めたはずなのに、迷いそうになる自分がいる。
でも…これはキレイゴトなんだと、思う。
仲間の歌声に、はっと我に返る。
痛みが、傷が、回復していくのがわかった。
ボクは立ち上がる。
もう迷いはしない。
彼女の未練は、ここで断ち切ってやる。
それが、本当のやさしさなんだと心に決めて。