posted by 渡月・トワヤ
at 16:05:32 │
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教室の前、一枚のチラシに目を留めると、ボクはしばらく動けなくなった。
こんなおでかけイベントがあったらいいなって思っていた、まさにそういうイベントが、今目の前でひらりと微風に揺れるチラシに書かれているんだもの。
いつもなら、わっと飛びついちゃうところだけれど、
一緒に行きたい顔が脳裏にちらついちゃって、1歩を踏み出せなくなってしまっていた。
相手から見たらボクはきっと大勢居る友だちのうちのひとりで、
二人ででかけようって誘うのは迷惑かなぁ、とか
意識されちゃって、ぎこちなくなっちゃったらそれはそれでつまらない、とか
誘うとしたら、どうやって言えばいい?!とか
こんな些細なことで悩むなんて、真面目に考えすぎかも、とかが、とめどなく ぐ~るぐる。
…いわゆる「恋」ってヤツですかね?
あぁ、ちきしょう!
するっと動きたい、動きたいよぅ…!
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posted by 渡月・トワヤ
at 23:59:59 │
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旅行から帰ってきたボクは、結社に土産を置いて回ると、ゴーストタウンへ向かうことにした。
バイトを変わってからこっち しばらく経つけれど、どうも月のエアライダーというジョブが、しっくりこなくって。
憧れだけが先行しちゃったかな。
プールでもあまりに役立たずで、情けない。
もう少し何とかしたいから、とりあえず特訓(?)だ。
「まぁ、こんなもんだろ」
一緒してもらった仲間のおかげで、そこへ巣食うモノたちは一掃できた様子で、ボクらはほっと一息つくと、帰路につくため、踵を返す。
と、そんなボクの足元に、何かがまとわりついてくる気配を感じた。
ゴースト特有の、あからさまな敵意や怨念といった、あのゾッとするような感じではないにしても、普通ではない感触で。
…まぁ、ボクらのやってることがすでに、いわゆる「普通」とは言いがたいものなのだけれど。
そろり、と視線を落とすと一見かわいらしいネコがそこに居て、ボクを見上げている。
しかし、場所柄、それが生き物ではないのは、火を見るより明らかだ。
なによりそいつは、あろうことか服を着て二足歩行をしているのだもの…!
さながら、昔童話で読んだ「長靴を履いたネコ」だ。
…いや、むしろネコ版「三銃士」が、ぽんと本から飛び出してきたみたい。
「なななな…!?!?」
慌てすぎて言葉にもならず、イグニッションもできなくて、ボクは2,3歩後ずさる。
ボクの言葉にならない声に、先を歩いていたゼンが振り返った。
彼は、一瞬目を見開いたものの、年下とは思えない落ち着きぶりで、
「…渡月さん。その仔はケットシーだと思いますよ」
と言って、くすりと笑う。
え、え…ケットシー!?
ケットシーって、プールでもたまにみかける、踊るあのネコのこと?
(プールで見かける踊るやつは、ワンダラーと呼ばれる種類だけど)
言葉がうまく出てこず、口をぱくぱくさせるボクに、ゼンは
「きっと、渡月さんは、その仔に好かれたのですね」
とにっこり笑んだ。
ゼンのことばで徐々に落ち着きを取り戻すことができたボクは、
思い切ってケットシーと視線を合わせようと、しゃがみこんだ。
ボクの目をじっと見つめ返すその仔の目は、青く澄んでとてもきれいで、そこに敵意は微塵もないと感じた。
少し迷ったものの、
「ボクで本当にいいのなら、いっしょに、おいで」
と言いながらあごをなでると、いやがるそぶりも見せずにゴロゴロと喉を鳴らし、
なんと剣礼までして見せたではないか。
部屋へ帰宅し、ふと思った。
あぁ、名前。名前をつけてあげなくちゃ。
どんなのがいいかなぁ…
あの仔の瞳は、高い空の色を映したような青。
そうだ、青嵐にしよう!
碧く薫る風とともに吹くことを選んだ仔だもの。
とてもぴったりだとボクは満足した。
今日はもう遅いからボクは寝ちゃうけれど、
明日からはどこでも一緒だよ、あお。
posted by 渡月・トワヤ
at 01:07:09 │
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バイトから帰ってきたボクは、居住階よりひとつ下の階で、エレベーターを降りた。
(知る人ぞ知る)ブーメランのコレクションルームに立ち寄るためだ。
バイトを月のエアライダーに変えてから、実際どんな装備がボクには合っているのかなって、ずっと試行錯誤してたんだ。
ミシキからお下がりで貰った赤閃を身につけると、なんとなくいつも以上に軽やかに風に乗れるような気がした。
あぁ、ボクが想像してたのと、一緒!
それは銀誓館学園に入って本業やバイトのことを知り、エアシューズの存在を知った時のこと。
ボクのジョブではあいにくエアシューズを履けなくて、残念に思ったものだ。
きっとあの靴を履けば、ふんわりと空を舞うように風と共に駆けられるんだろうな、って、努々想ってた。
こんなふうにふぅわりと風に乗って、豪快な蹴りを食らわせるなんて…正直、気持ちイイ。
今日は新月だから、窓から流れ込む光は街の灯りか。
銀色の月の光に照らされるブーメランは、格別なんだけど…っと、本題からズレているかもしれない。
もらった赤閃を履いた戦闘スタイルも板についてきたところで、ボクの能力には少しの余力が残ってるように思える。
右手には初撃に先手を取りやすい、小回りの効くナイフを持っているのだけれど、これをもう少しカスタマイズしようと決めたのだ。あぁそれならば良いものがある…と思い当たり、今この場所に居るわけだ。
ボクのブーメラン愛用コレクションの中でも、1.2の歴史を誇る、-殯ノ笛- がボクを見てキラリと鋭く笑う。
そうそう、これこれ。
ボクはそぅっと手に取って確かめるように眺め、頷いた。
これはもともと、小型ナイフを模してしつらえたもの。
3枚一揃いだけれど、それぞれが鋭いナイフのようになっていて、おあつらえ向きだ。
部屋へ一旦戻ると、レポート用紙にナイフの仕様を書き記して、再び夜の街へ飛び出した。
*************
ナイフと、殯ノ笛と、少しの詠唱銀と。
いまだ、昼間の熱を帯びた風が吹きぬける屋上に上がり、百葉箱にそれらを仕舞って、扉を閉じた。
あとは、届けられるのを座して待つだけ。
受け継がれる精神。
闇を切り裂くのは、殯ノ笛の音。
posted by 渡月・トワヤ
at 15:18:51 │
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「たんと食え」
と、そんなふうに嬉しそうに笑うなんて、反則だ。
(…うっかり、胸がきゅっとしてしまったじゃないか)
まぁ、ありがたく頂戴するに変わりはないんだけどね!
さて、そんなこんなで、冷蔵庫には、まだまだ乾そばのストックが山のようにあるわけで。
昨日はとりあえず、ベーシックにざるそばにしたものの、毎日これじゃ、栄養も偏るし、なにより飽きてしまいそう。
というわけで、今日は、山芋の擂ったのとオクラを刻んだの、それからなめこをのせて夏バテ防止とろろそばにしてみました。
明日あたりには、牛肉の時雨煮と錦糸卵と小口切りにしたネギをのせて、瓦そば(風)にしようかな…
う、また本場の瓦そば食いたくなってきたや。
あとで、とぅちゃんに「また川棚に連れてってくれー」って電話しよっと。
そばと言えば、えび天ののった天そば(天ざるも可)も好きだけど、自分だけのためにてんぷらを揚げるとか、ありえないよね。
火の側は暑いから、そもそも、夏場に揚げ物を作るのは遠慮したいしなぁ。
あぁでも、天ぷらそばは食いたくなってきちゃった!
お惣菜コーナーでえび天買ってこようかな…
うーむむ、あとは自分では作ったことがないけれど、
祖母が作ってくれた、海苔巻きの酢飯代わりにソバを巻くソバ寿司も、結構好きだったなぁ。
具には、甘く煮たかんぴょうと、厚焼きたまご、胡瓜を入れても涼しげでいい。
ひとつ問題は、ボクにそれが上手に作れるかということだ…
そばレパートリーは、このぐらいしか思いつかないな。
レパートリーが尽きたら、トッピングで変化をつけて、毎日ぶっかけそばに落ち着いてしまいそうな気もする。
(手帳にいろいろメモしつつ)
posted by 渡月・トワヤ
at 11:58:42 │
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今年のこの暑さはなんだか異常だと思う。
おかげで日中は、とてもじゃないけれども出歩く気になれなくて、動き出せるのは早朝か日没後か。
ボクは妖怪かなにかかっ!
夏休みなのを幸いにして、涼しいうちに図書館へ出向くと、自習室へ。
エアコンの効いた室内で読書三昧…いや、勉強してるんだってば。
来年は受験も控えてるし、そろそろマジメに進路も決めないとだものね。
なれるかどうかは判らないけれど、図書館の司書になりたいなって、思って。
昼食を摂るために、一旦図書館を出た際の、街路樹からの容赦ない蝉の鳴き声は、「あぁ、これがまさに蝉時雨」と納得してしまうほどで、一層この暑さに拍車をかけている気がしてならない。
食欲も落ちてしまうし…早く涼しくなれー!
暑さのせいで、一事が万事こんな調子で、なんとなく気も漫ろ。
歩き方まで、なんだかふらふらしちゃう。このままじゃ、脳みそ溶けちゃうよ。
なんとか図書館のロビーまでたどり着くと、緑茶で流し込むようにおにぎりを食った。
とたんにまた、噴き出す汗。
そしてボクはまた、このところやけに脳裏を掠めて離れない面影を思い、ふっとため息をついた。
いつからだろう。
アイツのことばかりが、気になっちゃってる。
友だちなのに、ボクは彼のことを何もしらない気がして、
何が好きなのかなぁとか、今ごろなにしてるのかなぁとか…かけらでもいい、知りたいと思ってしまう。
そしてボクは、彼のために何ができるのだろうと、考えてしまう。
そもそも、アイツはボクのこと、どう思ってんだろうか。
訊いてみたいような、気づかないでいてもらいたいような…
友だちで居られることを手放す勇気は、今のところまだない。
ボクはなんて情けないんだろう。
汗がひいてきた。
自動ドアの向こうに目をやると、ゆらゆらと地面から蜃気楼が立ち上っているような気がした。
蝉時雨は、かすかに硝子越し、ボクの耳まで届いてエンドレスリピート。
ボクの思考も、エンドレスリピート。