posted by 渡月・トワヤ
at 18:30:14 │
EDIT
今の時節は、夕方5時半ぐらいが狙い目。
台風一過。
ボクは屋上への扉を、今日も開ける。
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空いっぱいに広がる羊雲の群れは、灰色とオレンジ色に染まり、
まるで、羊飼いに連れられて小屋へと戻っていくように、
皆ひとつところへ向かってゆっくりと流れていく。
フェンスに寄りかかるように地べたに腰を下ろし、だらんと脚を投げ出した。
空を見上げコーラを喉に流し込むと、ボクは微笑んで目を閉じて。
絶え間なく吹く風はもう涼しく乾いていて、心地良く髪を洗う。
そうしている間にも陽は傾き、周囲を茜一色に染めていった。
この時間と景色が好きで。
此処でただぼんやりと過ごすのが、
このところのボクのささやかな日課になっている。
穏やかな、秋の夕暮れ。
「あれー?トワやんけ」
ぼけっとしすぎていて、カナメが屋上のドアを開けたコトにまったく気づかず、
その声で、はっと我に返った。
「もうすっかり秋やねー」
カナメはにぃっと笑って、ボクの横に腰を下ろす。
「そうだな、こんぐらいの季節がちょうど良いよ」
ボクの言葉に相棒は「うんうん」と頷いた。
相棒は、ボクがどうして此処にいて、何をしていたのかなど訊かないし
彼が何をしに来たのかということも、どうでも良いこと。
陽が沈みきると、今度は少し冷えてきた。
「んじゃ、ボクはぼちぼち帰ろうっと」
と言って立ち上がる。
その言葉に相棒もふっと顔を上げて
「せやね。だいぶ冷えてきたし、俺も帰るわ」
街に、灯りがぽつぽつと点り出していた。
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