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時折、陽射しは雲に遮られるし、真夏の暑さに比べたらかなりマシだけれど、
歩いているだけで、首すじから汗が滴ってくる。
今日は帰ったら、何より先にシャワーでも浴びよう…
しかし、図書館の中は、エアコンが効いていて快適そのものだった。
「中央」と冠しているだけあり、たぶん鎌倉の図書館の中で規模は一番大きいのだろう。
蔵書の数も半端なさそうだし、検索用のPCや、デジタルデータにされた資料の閲覧用のPCもかなりの数がありそうだ。
でもボクは、デジタルに変換されたデータに興味はないし、
案内板を眺め、目的の棚へ向かう。
小説にもかなり後ろ髪をひかれるけれど、今日のボクの目的は画集なのだ。
とある画家の画集を見たくなり、ここまで来た。
この画家の名前は、先日、シノとご飯を一緒した際に教えてもらったもの。
「ねぇさん、絵は好き?」
と見せてくれた画集がその画家のもので、
絵だから音なんてなくて当たり前なのだけれど、
無音とは違う静寂、凛とした森の空気さえ流れ出してくるようで、
ボクは衝撃を受けた。
知らないことは、まだまだ多い。もっともっと知りたい。
シノから聞いた画家の名前を手帳に書き記して、
「今度画集でも探してみよう…」
そう呟いたボクを、シノは嬉しそうに見ていたっけ。
「美術・芸術」の札がかかったエリア。
普段はあまり、このエリアにお世話になることがないから、
果たしてここに、その画家の画集があるのか。
(ここまで来た時に、「あぁ、入り口横の検索システムを使えば良かった!」と気づいたが後の祭り)
西洋・東洋…と並んでいる。
仏教美術?などの資料もあるみたい。
写真も此処に含まれるのかぁ。
並ぶ背表紙に、ついつい気を取られてしまう。
アレも見てみたい、コレも面白そう。
ボクの中の、悪い虫は今日も元気いっぱいだ!
あ…。
背表紙を軽くなぞる人差し指が、止まる。
あった。
しかも、何冊…!
どれから見ようかなぁとちょっと迷いながら1冊の画集を取り出した。
手近な席に座って、ぱらりとページを繰れば、
やはり感じられる静寂。物悲しさ。
それらをただあるがまま、静かに受け入れているような、気高さ。
写真とは違う。
けれども今まさに、ボクはこの風景の中に立ち、
自分の存在が如何に小さいかを、示されているような、
それでいて、胸にすぅっと何かが通ってクリアになるような、不思議な感覚を覚える。
あぁ、心が洗われるとは、こういうことか。
それから閉館ぎりぎりまで、あるだけの画集を眺めてボクは過ごした。
色々と面倒そうだったから、貸し出し用の登録カードは作らず、手ぶらで帰宅したけれど、
得るものがとてもたくさんあった素敵な一日になったと、思う。
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