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紫がかった青色の、繊細な花弁が放射線状にひらひらと広がっていて
とても可愛らしい花がそれだった。
おかしいな、知らないのに、でも確かに知ってる。
うーん、と唸り、次のページを繰る手が、次へ行こうとして、また戻って、を繰り返し動かない。
名前は「cornflower」と記されていた。
聞いたこともない名前だったし、
実際「コーンフラワーって読み方で良いんだろうか」と悩むような、そんなレベル。
でもなんだか、この花を見ていると懐かしさがじわっと甦ってくるみたいで、自然、笑顔になっていた。
ボクはふっと思い立ってPCを立ち上げ、cornflowerの意味を調べてみる。
求める答えは、すぐに表示された。
和名、矢車菊というのが、それだった。
名前を知ったところで、なぜこの花がボクのこの心を掻き立てるのか、皆目見当がつかない。
「うーむ」
再び唸ると、本を開いたまま、ごろりと床に仰向けに転がって、少しひんやりする空気に目を閉じた。
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いつの間にかボクは、そのままの格好で眠ってしまったらしい。
はっと気づいて、身体を起こす。
一瞬、此処がどこか判らず、まだ少し重い瞼の隙間から、きょろきょろと部屋の様子をうかがった。
それで、あぁ此処は鎌倉の紫陽花会館だったと思い至り、ほぅと息を吐いた。
もうこんな時間か。
ボクは開いたままだった図鑑を閉じて本棚に仕舞うと、
コインランドリーへ、洗濯物を取り込みに向かった。
その胸のうちにはずっと、小さく青い花が揺れている。
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