知恵熱を出しそうになりながらも一段落したので、
コーヒーカップに手を伸ばし、棚から便箋を取りだす。
濃青のボールペンで、さらさらっと書き始めるのは、1通の手紙。
『 サヤカへ
手紙をありがとう。
住所を教え忘れるという、不義理をしてしまってごめんな。
「いつものことだ」って笑って許してくれて、感謝してる。
そっちは、元気にやってるみたいだね。
まぁ、サヤカならどこでも上手くやっていけるんだろうけどさ。
とにかく、安心だ。
そっちを離れて、もう半年経つんだよなぁ。
毎日忙しくしてる所為か知らないけれど、本当にあっという間だった気がするよ。
こっちは、学校がめちゃくちゃデカくって生徒もホントに個性豊かというか…
まぁ、良い学校だと思う。
来て良かった。
そうそう、気の合う友だちも、できたんだ。
ボクにしてみたら、かなりの進歩だと思わないか?
住まいは、学校がアッセンしてくれた下宿に落ち着いたよ。
下宿っつっても雑居ビルみたいな風体で、1ルームマンションに近いかなぁ。
プライバシーが確保されてるから、気を張らないで居られるのが嬉しい。
あと、1Fにはコンビニとかコインランドリーなんかがあって便利だし立地条件も悪くない。
今度、遊びにおいでよ。
鎌倉の街を、案内してあげる。
…と言っても、知らないことのが多すぎるけどな。
それじゃ、元気で。
また手紙を書くよ。
いきなりで悪いが今度の連休そっちに帰るから、良かったら会わないか? トワヤより 』
便箋と揃いの封筒に入れ、切手を貼って。
確か、コンビニの前にポストがあった。
毎日通っているとそれが日常の風景に溶け込みすぎて、逆に曖昧になっていくものなんだなぁ。
変な感慨を覚えながら、サンダルを引っ掛けて、ちょっとそこまで。
帰って来たら、また、残りの教科のノートを纏めないと、だな。
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