posted by 渡月・トワヤ
at 17:20:24 │
EDIT
ふわり、と鼻をくすぐる甘い香りに顔を上げる。
視線の先、5mと言ったところか。
とある民家の庭先、柵から身を乗り出すようにしてその甘い香りの正体が植わっていた。
金木犀。秋を代表する花のひとつだとボクは思っている。
照りつける夏が終わって巡りくる秋に咲く花は意外と多く、またそれが乾いた空気に良く似合う。
明日は、戦争だ。
大事なものは、平常心。
だからこそ、普段と同じ一日を楽しみたいと思って散歩に出て、思いがけない邂逅。
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きょろきょろと周囲を見回して人通りがないことを確認すると、
目の高さまで撓っている枝までそろりと歩み寄り、花のひとつひとつまでが、良く見えるほどに顔を近づけた。
そういえば、こんなに間近で金木犀の花を見たことがなかったかなぁ。
初めて見る金木犀の花は、思いのほか小さかった。
橙色の、丸くてぽてっとした花弁が、可愛らしい。
近づきすぎて鼻が慣れてしまったのか、風向きの所為か。
あの甘い香りは、もう感じなくなっていた。
ふぅ、と息をひとつ吐き出して、ボクはまた歩き始める。
秋。
八百屋の店先に、ザルいっぱいの梨。
堤防には、鶏頭やコスモス、彼岸花が咲いている。
遠くの山の頂上付近は、少しずつ紅葉が始まっているようだ。
散歩の締めは、やっぱりいつものボクの場所。
ケータイでひつじ雲の空を写メったり、夕陽のオレンジを眺めたりして、
風が少し肌寒くなるまで、ただぼんやりと過ごした。
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