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鎌倉駅の南東、歴史ある寺院や文化財が集中する地区がある。
前から気になっていたので、思い切ってそこまで出かけることにしたのだ。
駅からほどなくして、ひとつのお寺。
此処にも、紫陽花の株がそこここに植わっている。
立地条件のわりには、とても静かで、
雨粒が木々の葉を打つ音が良く聴こえる。
時折、電車の通る音もそれに混じる。
休日の早朝ということもあるからだろうか、犬の散歩をする人と、時折すれ違う程度。
その面識もないただの通りすがりの人たちは、すれ違いざま、ボクへ朝の挨拶をよこす。
それが、さも当然のことのように、皆自然に。
傘を深くさし、目線を落としていたのだけれど、挨拶をかけられるたび顔を上げて挨拶を返し、またうつむいて。
そうしているうちに、いい加減、首の上下運動も莫迦莫迦しくなってくる。
境内は静かだ。
こういう場所の空気はいつもどこか神秘的で凛としていて、そして独特の匂いに包まれている気がする。
ボクは思わず、顔を上げて背筋を伸ばしていた。
石が敷き詰められた境内の奥。
立ち止まってしばらく、静かに佇む本堂を、ただ見ていた。
道なりに進んで正門を抜け、しばらく歩くともうひとつ寺があるらしい。
路地を歩き、少し上り坂になってきたな、と思ったら、山門までの道。
両側は木々に覆われ、本当に此処は市街地なのか、と疑いたくなるほど閑かだ。
家を出て、約1時間。
さすがにホットミルク1杯じゃ、腹の虫も騒ぎ出す、か。
道を登りきって、ぐるり境内を回り、もと来た道を辿って鎌倉駅まで。
徐々に、現実に引き戻されるような感覚が起きるのは、きっと街の音が耳に届いてきたからだろう。
駅近くにあったベーカリーでパンとコーヒーを買ったボクは、駅のベンチでそれを食った。
そうして、腹を満たせば、少しは落ち着いてくる。
うん、元気の源は、美味い飯(パンだけど)
ボクは、ボクの在るべき場所へ帰ろう。
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