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やっぱ出発の前だからかなぁ?
五十鈴のテンションが妙に高い気がして理由を訊ねると、
気分を上げるために、携帯音楽プレイヤーで音楽を聴いていたんだと教えてくれた。
「どんな曲聴いてんの?」
ボク自身も音楽鑑賞は趣味だ。思わず食いついてしまう。
「んとね、僕は洋楽が好きなんだ」
ちょっと聴いてみる?と差し出してくれたイヤホンの片方を受け取って、耳へ。
ちょうど流れていたのは、ボクでも聴いた事がある有名な歌手の曲だった。
「あ、この曲知ってる!でもこれ…どこで聴いたんだっけなぁ」
何かのテーマソングだったかなにかか。
テレビから流れてきていたような映像が脳裏に浮かぶ。
「○○ってCDに入ってるよ。確か1曲目だったと思う」
「あっ、そのCDなら持ってる!なぁんだ、それで聴いたことがあったのか!」
自分の記憶力のしょっぱさが身に沁みて思わず苦笑い。
「でも、この歌手の声良いよなぁ。リラックスする時に良さそう」
イヤホンから流れる曲の感想を述べると
「トワヤくんなら、この歌手の良さ、解ってくれると思ったんだ」
五十鈴は、嬉しそうに笑った。
関西出身だからなのだろうか、五十鈴は良く喋る。
面白ければ良し。そんな価値観が根底にあるんだろうか?
ボク自身、友だちと雑談するのは大好きだし、
こういう何気ない会話はテンポこそ大事だと思っている節があり、そんな感じで彼とはウマが合う。
「さて、覚悟は完了できた?」
「…いつでもOKさ」
「嫁入り前の娘にこんなこと頼んで、ゴメンね」
手の甲で涙を拭うフリをし悪戯っぽく笑う五十鈴に、笑顔で応えてボクは前を向く。
無事に帰ってきてやる。
帰ってきても「臭ェ」なんて言われないために、終わったらちゃんと皆で掃除もする予定だし、
近場に温泉があるそうなので、帰りに皆で入ろうと約束してる。
依頼から無事に帰れたら、
きっと、綺麗さっぱりさ!
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