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雨の音。
かなり強い雨が降っているようだ。
ベランダに置いてあるエアコンの室外機に雨粒が滴り落ちているらしく、ポトンポトンと大きな音が規則正しく続いている。
その音でショパンの「雨だれ」を思いだすんだけど、この雨じゃちょっと強すぎるなぁ。
うーん、残念。
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携帯音楽プレーヤーで最近DLした音楽を聴く。
少しばかりアンニュイなそのシンガーの声が今日の天気に良く似合う気がして、自分のチョイスに満足する。
それからボクは、本棚を見つめた。
小説という気分にはなれなくて、古書市で手にいれた英国製の花図鑑を手にする。
花は良い。
育てるのは苦手だから、眺めるのの専門なんだけど、ね。
本を開いて膝に載せたまま、なんとなくうつらうつらとしてしまったようだ。
まだ雨は降り続いている。
意識がすべて眠りに落ちたわけじゃなく、脳みそのどこかは起きているらしい。
耳には雨の音が変わらず聞こえている。
雨のカーテンが閉ざした世界。
ボクは、薄暗いトンネルの中に立っていた。
左手側の壁に等間隔に並ぶ窓からは月明かりが零れ、でこぼことした壁が淡く白く照らされている。
ボクを包むひんやりとして湿り気を帯びた空気の感触と相まって、そこが地面を穿ったトンネルだと確信するに足りるものだったんだけれど、そこはしかし、ボクの記憶にあるトンネルと呼ぶには少し奇妙でもあった。
通路は狭く、人がすれ違えるかどうかという幅しかない。
それは少しずつ右にカーブを描きながら先へ続いており、右手側の壁には奇妙な絵の入った小さな額縁や、飾り皿がランダムに、なおかつセンス良くぶら下げられている。
壁に触れてみると、土であろうそれはずいぶんと硬くて岩のようだった。
ひんやりとした滑らかな感触がてのひらに残る。
やはり土の中のトンネルじゃないのかと思いたくもなるが、月明かりの零れる窓が、そこがまるっきりの地下ではないということを物語る。
窓の外は、晴れ渡る夜空。星の瞬きも良く見える…
どこかで見た風景だ。
あぁ、ここはホビット庄のバギンズ家…!
そう思い至った時に、目が覚めた。
ボクを包む空気は、先ほどのトンネルと同じな気がして、
きょろきょろと部屋を見回したけれど、夢は夢。
見慣れたボクの部屋の風景が、いつもどおりにそこにあるだけ。
ひんやりしっとりとしたこの空気が今の夢を見せたのかもしれない。
自分が思いがけず物語の登場人物になったような気分。
少し可笑しくなって、くすっと笑った。
膝に広げたままの本をぱたんと閉じて仕舞い、音楽を止めると、ボクは布団に潜りこんで。
あっさりと深い眠りに落ちていった。