posted by 渡月・トワヤ
at 15:30:34 │
EDIT
うぅ、寒ぃ…
久しぶりに晴れた日曜日の午後、ボクは屋上に上がり、空を眺めていた。
季節は秋から冬へと移ろいを見せている。
吹き抜ける風もまた、日増しに鋭さを増し、
眼下に広がる景色には、街路樹の紅葉が差し色の如く、灰色の街にちりばめられている。
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ボクはふと思い出し、階下のコンビニで買い求めていたホットの缶コーヒーをパーカーのポケットから取り出した。
まだあったかいそれは、ボクの冷えた指先にじんわりと熱を運ぶ。
フェンスに背を預けて屈み、コーヒーを開ける。
それで手を暖めつつ、胃袋も温め、ほぅっと息を吐いた。
後ろから、前から。
強く吹きぬける風を
まるで、今のボクみたいだと思う。
行き場を求めて彷徨うような。
だけど、まっすぐ進むしかない風。
きっと、目指すところはあるはずで
そこが海なのか山なのか、今はまだ良く判っていない。
ただ手探りで、明るいほうを探してる。
広い広い空。
どちらにだって、奔っていける。
立ち止まってもいいから、顔を上げておけ。
うつむく理由なんかひとつもないし、自分らしく在るのがいちばん。
ひときわ強い風が、背後から吹いた。
「そうだ、自分らしく在れ」
と文字通り、ボクの背を押すかのように。
ぶるっと身震いして、(もう冷めてしまっていたけれど)コーヒーをぐっと飲み干し立ち上がった。
もうあの風はどこにも居ないけれど、ボクは振り返ってにっと笑う。
「サンキュ」と小さく呟いて、それからダッシュで部屋へ帰った。
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