部屋の明かりを落とし、眠りに落ちるまでの間。
暗闇に流れる柔らかで澄んだ音色と、
天井にゆったり巡る星空の物語。
これは、まいおからの、ちょっとだけ早い誕生日の贈り物。
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「12月になったらすぐ渡そうと思ってたんだー!」
にこにこしながら、小さな箱をボクへと差し出して まいおはそう言った。
唐突すぎて、一瞬何の話か判らない。
けれど、先日ゆきあかりでも、12月の誕生日の一覧が貼り出されていて(団員数13人中4人が12月生まれっていうのにも驚いたけれど!)、仲間からぼちぼちと「おめでとう」と言ってもらったりしてるので、あぁ、そうか、と思い至る。
12月は、ボクの誕生月なのだ。
クリスマス直前だし当日バタバタしちゃって渡しそびれたらいけないから、とも彼は言い、もう一度、さぁ受け取れと言わんばかり、ボクの手へ箱を握らせる。
「わ、わ…、ありがとう!」
受け取った箱は、濃紺の包装紙に星空がプリントされていて、きらきらラメの入ったオーガンジーのリボンがふんわりと掛けてあって。
こういうのって、解くのがもったいないほど、綺麗に包装してあるもんだ。
「開けてみても良い?」
聞くまでもないけれど、つい。
「もちろん!」
まいおは終始、にこにこ顔。
できるだけ包装紙を破らないように繊細さを持ちつつ、けれど大胆に!←
がさがさっと包みを解き箱を開けば、なるほど、包装紙の星空の理由がなんとなく判った。
てのひらサイズのころんとしたオルゴール。
黒っぽいボディの上部は天球儀の如く、透かし模様で星がちりばめてあるのだ。
「うわぁ…素敵!」
上から下から眺めたあと螺子を軽く回す。
軽やかで柔らかい音色がそこに流れた。
「ふふ、まだ仕掛があるんだよー」
まいおが満面笑顔でそう言いながら底にあるスイッチを入れると、どうだろう!
透かし模様だと思っていた星は、光り出したのだ!
「お、おぉぉ!」
…言葉にならないボクを尻目に
「ちょっとゴメンね、消すよ」
まいおは部屋の明かりを落とした。
と、オルゴールから漏れる光は天井に星空を映し出すではないか。
「すげぇ…」
こんな小さなものでも、充分星空を映しだせるんだなぁ…
ボクは感嘆の声を漏らす。
まいおは明かりを点けた。
「これなら、屋上で星を見ながら寝ちゃって風邪をひくってこともないし、布団に入って眺めたら、きっと良い夢が見れると思うんだ!」
「うん、ホントにね」
優しい夢を見れそうだと、同意を持って頷いて。
「…まぁ、さすがに屋上で寝るヘマはしないと思うけどな」
ボクは笑いながら、オルゴールを飾り棚へと並べた。
このガッコに来てたくさんの友だちが出来た。
それはボクにもまいおにも共通することだ。(まいおの方が顔は広いけどね!)
まいおから具体的なことは何も聞かないけれど、きっと鎌倉に来るまでは、ボクと似たようなもんだったろう。
そのことを思えば、誕生日の贈り物をするという行為は、喜びを分け合える相手が居るというとても幸せなことなのだと思う。
暗闇に流れる澄んだ音色と天井を巡る星空の物語。
ボクはすぅっと引きこまれるように、いつしか眠りに落ちていた。
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