「ハーバーライトに映える白玉」
シンギングツリー。
今年のテーマは「絆~世界を変える力~」だそうで。
と言っても、ボクは今年初めてこのツリーを目の当たりにしたんだけど。
屋内に設置してあるこのツリーは聞くところでは、高さ13mあるらしい。
それは、想像以上にバカデカくて、共に訪れた仲間たちと感嘆の声を漏らしてしばし眺める。
モラ捕獲は仲間たちの手際の良さのおかげで、難なく成功を納めた。
あとは、友達や恋人と思い思いに過ごすため現地解散の運びとなる。
「それじゃ、お疲れさーん!」
ボクは仲間に手を振って、再度ツリーの傍へ急ぎ足。
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「ごめんごめん、待ったー?」
ボクが駆け寄ると、見上げていたツリーから振り返ったのは寒露。
「ううん、大丈夫だよ」
と、穏やかに微笑んだ。
寒露は普段、こんな風に妙におっとりと落ち着いてるクセに、ゴーストタウンでは人が変わったようにオトコマエにファイアキャノンを撃ちまくるもんだから、初めて一緒に狩りに行った時には正直魂消たもんだ。
"車のハンドルを握ると性格が変わる人がいる"と聞いたことがあるが、寒露もその類かもしれない…
まぁ、ボクは、そういう寒露のギャップは好い部分だと思うんだけど。
「今日はがっつり買い物に付き合ってもらうぜ!」
ぐっと親指を立てて、にっと笑うと、
「うん、いいよー」
と、彼もにっこり。
まずは、雑貨屋に向かう。
季節柄、一番目立つ場所に赤や緑、金色の鮮やかな商品がキレイに並べられており、クリスマスムードを盛り上げている。
スノードームの一つでも部屋に置いておけば違うもんかなぁなんて思って、一つを手に取り眺めてみたけれど、クリスマスなんてあっちゅー間に終わるもんな。
ボクは特設の棚からぷいと離れて、ぐるり店内を回り、奥まったコーナーへ。
元々、この店ではインセンスを買うつもりでやってきたのだ。
ジャスミンとローズ、それからラベンダーの3種類を手に取って、ふと寒露を見ると、並んでた箱の一つを手に取っているところだった。
へぇ…興味あんのかな?
そう思って眺めていると、いきなり一嗅ぎ。直後、眉を顰めながらのけぞったのがおかしくて、
「直接嗅ぐもんじゃないぜ」
と、くすくす笑った。
次もまた、雑貨屋。
こちらは、ビビッドカラーのカラフルな雑貨が多くて、目を奪われる。
マグカップを手に取って
「コレ、かわいいなぁ!」
と寒露に見せると、
「うんうん」
と頷いてくれる。
「…まぁでも、ボクには似合わんがな」
そう言いながら、マグカップを元あった場所に置くと、寒露は曖昧に笑った。
実を言えば、ボクは初めての依頼の後で、緊張が解けていなかったのだ。
それを誤魔化すために、今のボクはいつも以上に饒舌で。
寒露は(あちこちに飛ぶ話題にも)嫌な顔一つせず、すべてに相槌を打ち、ただ聞いてくれる。
でも、寒露ならきっと気づいてるだろう。
ボクがいつもとちょっと違うことに。
でも、何も言わず、余計な気遣いもせず、ただ見守ってくれてるようだ。
もしボクに兄ちゃんが居たら、こんな感じなのかなぁ。
…実際に聞く話ではそんな優しい兄貴は、滅多に存在しない代物らしいが、実際居ないからこそ、兄に対する幻想が膨らんじまうのも否めない。
「よし、次は本屋だー!その後メシでも食おうぜー」
ボクはテンション高く、子供みたいに寒露の袖を引っ張りながら、エレベーターホールへと向かった。
ボクのプレイング文章は
こちら。
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