── ピンポーン
ドアのチャイムが鳴った。
こんな時間に誰だろう?
訝しげにドアを開くと、まいおが立っていて。
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「トワヤさん…」
少しばかりうつむいて、何かただ事ではない雰囲気。
「大丈夫か?」
声をかけようとしたとたん、くっと顔を上げたまいおは満面笑顔。
そして
「お誕生日おめでとうー!」
後ろ手に隠していた小さなクラッカーをパン!と鳴らしたのだ。
「お、おぉぉぉ…!」
日付変更線を跨いですぐだったというのもあり、ボクは面食らってしまった。
そう、今日はボクの誕生日だったのだ。
誕生日に、家族以外からお祝いを言われるなんていつ以来だろうか。
というのも、唯一の地元の友人、さやかはかなりのウッカリ(?)で、
「トワちゃんの誕生日って、9月だよね」
と、事実、9月21日にプレゼントを贈ってくれていたのだ。
(どうしてその日なのか、皆目見当がつかない)
ボクも祝ってくれる事実は嬉しかったし、いちいち訂正するのもめんどくさくてそのまま受け取ることにしていたから、こうしてホントの誕生日にお祝いしてもらえるなんて、なんだか逆に新鮮ですらある。
まいおは、美容と健康(?)に気遣って、小さなケーキを持ってきてくれた。
今食べても、明日の朝食べてもいいように、と言って。
宵越しのケーキは色々とアレなので、今から食うよ、と笑って受け取る。
寒いし遅いし立ち話もなんだからと言って、まいおは「またね!」と手を振って帰ってしまった。
ドアを閉め、紅茶でも淹れようかとテーブルにケーキの箱を置いたときに、
ケータイのメール着信を報せるランプが点滅しているのに気付く。
まいおが訪ねてきたのと時を同じくして、届いていた1通のメール。
「誕生日、おめでとさん」
短い一文だったけれど、差出人の名前を見て目を瞠り、それからボクは、してやられた、とこっそり破顔した。
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