:::::::::::::::::::
季節柄、店内はクリスマスムードいっぱいのディスプレイ。
ショーケースに並ぶケーキのどれにも、柊の葉を模した厚紙がちょこんと飾られている。
お一人さま用の小さい小さいホールケーキなんかまである。
そりゃ確かに一人で食うけれど、ホールケーキ…飽きちゃうよね。
ボクは同じ量を食うのなら、数種類をちょっとずつ食いたいタイプだ。
昼飯後と、3時のおやつ、夕食後…3つー!
結局、ガトーショコラと抹茶のシフォンケーキ、フルーツタルトを買い求め、これまたクリスマス専用っぽい、赤と緑の模様が描かれている箱に納められたそれを抱えて帰路につく。
ケーキを食べることを想像し、にまにましながらエントランスに入ったところで
「あぁ、トワヤちゃん」
ボクの顔を見た守衛のおじさんが声をかけてきて、こっちへ来いとばかりに手招きする。今のだらしない顔、見られてなきゃ良いけれど。
「こんちはー。なぁに?」
ボクが守衛室の窓越しに覗きこむと、ちょうどおじさんが屈みこみ、入り口のドア付近に積んであった何個かの小包らしき箱を抱えあげるところだった。
「これね、全部トワヤちゃん宛だよ」
おじさんは器用にドアを開くとボクへとその荷物を預けて、エレベーターの「△」ボタンを押してくれた。
「えっ?あっ!?これ、全部??」
渡されたモンは、その真偽はともかくとして、とりあえず受け取らないと落としちゃうし。
あわわ、と多少慌てながら全部を抱え、到着したエレベーターに乗り込んでくるりと踵を返し、守衛のおじさんに「ありがとっ」とぺこりと頭を下げて、ドアは閉まった。
部屋に着いてとりあえずケーキを冷蔵庫に仕舞うと、コーヒーメーカーをセットした。コーヒーが落ちる間に、荷物を確かめる。
宛名はすべてボク宛で、間違いはない。
差出人は…実家からとー……わっ、仄守っち!えぇとこれは…五十鈴!おぉぉ、こっちはカナメ!んでもって、ゼン!
わーわーわー…!どうしよう!
今日届いたってことは、誕生日だからだよね!?
俄かに信じられず、自問自答。
でも、でもすっげぇ嬉しい!!
床に座ったままじだじだと身悶えて、「く~~~~~っ」と堪える。
でなけりゃ、危うく奇声を発しそうだ。
こんなにたくさんの人たちに大切にされて、ボクってなんて幸せ者なんだろうか!
その時、コーヒーが落ちた合図が耳に届いた。
よし、昼飯食ったらケーキを食おう。
今日はなんて、最高の一日!
PR