氷上のアヒル
人里離れた山の中。
件の湖は静かに佇んでいた。
ボクらは、前もって準備しておいた看板を湖へと繋がる道などに手際良く設置し、一般人を遠ざける。
なにしろ、此処でボクらの大事な戦いが幕を開けようとしているのだ。
一般人の目に触れることのないよう細心の注意を払うのは、自身の身を守る意味でも当然のこと。
手抜かりは許されない。
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雅鼠のインスピレーションに従って、ボクらは氷張る湖面から陸地へとアヒルを誘き寄せる。
各々のタイミングでイグニッション。
打ち合わせ通りの布陣で、ボクは後衛に位置取った。
ボクは往々においてアツくなりやすい。
特に、こんな命のやり取りの現場でアツくなり視界を狭めることは、即ち、己だけでなく仲間たちの身にも、危険が及ぶことを意味する。
散った花が返り咲くことはないのだ。
「命、大事に」
小さく呟き、刹那、呼吸を整える。
己の中に流れる魔力を逆流させ増幅させるような意識、前方へ魔方陣を組んだ。
「……お疲れ、様」
アルフリートサンがポットからコーヒーを注ぎ、皆に配って歩いてくれた。
イグニッションの解けた身体に、この突き刺すような寒さは堪える。
ありがたく頂戴する。
温かいコーヒーは五臓六腑に染み渡り、ボクはようやくほぅっと安堵の息を吐いた。
あ、そうだ!
「せっかくなんだし、ワカサギ釣りもやって帰ろうぜー!」
足場の確かそうな場所を選び、ボクは丸く氷を削りはじめた。
ボクと同じ事を考えてた仲間たちは、竿を持ってきていたようだ。
ボクの声に頷きながら、鞄から竿を取り出し、にっと笑う。
皆準備が良いなぁ…とボクも笑顔で応えた。
「釣りたてを天ぷらして食うなんて、すげぇ贅沢だよね!」
おっと、こうしちゃいられない。
自前のリュックからガシャガシャとボウルや鍋、油や粉といった天ぷらセット(!)を取りだした。
コンロを持ってきてくれていた緋焔と一緒に手際良く衣を作り、油を火に掛ける。
準備OKだ。
「あ、きたきた!」
ボクの竿にピンと軽い手ごたえ。と同時に、他方からも
「こっちもきました♪」
「こっちもこっちも!」
と楽しげな声が上がった。
釣りは他のメンバーに任せ、ボクは天ぷらに取り掛かる。
ぴちぴちと跳ねるワカサギをつまんで衣に通し、さっと揚げる。
新鮮だから、ささっと火を通すくらいで良いはず。
さぁ、できた。
お好みで塩をどうぞ。
湖面の氷に反射した柔らかな陽射しがちらちらと輝く真白な世界。
ボクらの楽しげな声だけが響く。
陽が傾くまで、ボクらはそこで平和な時を楽しんだんだ。
ボクのプレイングは
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