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三学期も、半ば。
あと2ヶ月足らずで、ボクが此処に来て1年になる。
毎日新しいことの連続だったし、友達もたくさんできたしで、とても毎日が楽しかったなぁ。
一人暮らしの経験はなかったから、さすがに両親(とくに母)が心配していたが、おかげさまでほとんど病気もせずにしっかり暮らせている。
そういうことを思うとなんとなく、
「何かせずにはいられない」
そんな気持ちになった。
ふと、机の上のノートに視線を落とす。
無意識に、シャーペンでぐるぐる螺旋を描いていたようだ。心なしか、先生の視線が痛い…が、気にしたら負けだ。
と、授業の終了を告げるチャイムが響く。
別段 用事という用事はないけれど、ボクは慌しく帰り支度を整えると
「んじゃ、また明日なー!」
なんとなく目が合った五十鈴に、ひょいと手を挙げてから教室を飛びだした。
一歩外へ出ると、ボクを出迎えるように北風が吹きつけてきた。
俄然ボクは元気になって、通学路を紫陽花会館へ向けてまっすぐ走りながら、あることを閃いた。
「よっしゃ、やるぞぉぉ!!」
ボクの声に塀の上で丸まっていた猫がビクっとして、目が合った。
ボクはその猫に向かって、にぃっと笑いかけてその脇を駆け抜ける。
30分ほど後の紫陽花会館の屋上。
髪を括り、ジャージにゴム手、おしゃれ長靴のいでたちで、ボクはそこに居た。
あまり人に見せたくない格好ではある。
(あ、このカッコって、黄ウンのメダルを貰ったあの依頼の時以来かもしれない…)
思い出すと少し可笑しくなって、ボクはふふっと笑った。
さて、やるか。
水をばっと撒いて、デッキブラシで隅っこから擦り出した。
だいぶ面積があるから、けっこう時間はかかるかもしれないけれど。
いつも、やさしい時間をありがとうって気持ちを込めて、どうしても磨いてやりたくなったんだ。
デッキブラシを動かしているボクの頭の中で、かけ巡ることば。
まだ2年もあると言う。
もう2年しかないとも言う。
この頭で大学はちょっと無理な気がしないでもない。
就職?
図書館の司書ってやてみたいけれど…きっと本ばっか読んじゃって仕事になんないや!
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