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ゼンが依頼から帰ってきた。
また(!?)包帯ぐるぐる巻きの姿になったという情報とともに。
命があるだけ、マシとも思う。
依頼自体も、成功したようだし。
しかし、こういうのって何度経験しても、慣れないもんだ。
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ゼンの家には何度か坐禅を組みに来ていたりもするので、ご家族にも面が割れている。
出迎えてくれたおじさんは、
「禅は部屋で寝ているから」
と、あとはご自由に、とでも言わんばかり。にっこり笑って、彼の部屋の方を指差した。
「ありがとうございます」
ボクはへこっとお辞儀して、廊下を進んだ。
「ゼン。ボクだよ…トワヤ。起きてるかな?」
障子をノックするワケにもいかず、ボクは廊下に立ったまま、声をかけた。
すると、ごそ、っと 軽く布ズレのような音がして
「…あ、はい。起きてます」
ゼンの声を確かめて障子を開くと、彼は何とか起き上がろうとしているようだった。
「わゎ、無理に起きるなよ!すぐ帰るから、横になってろ!」
ボクは驚いたので、大きい声を出してしまう。
「…すみません」
ゼンは申し訳なさそうに少し笑うと、再び身体を横たえた。
「傷、痛むよなぁ…」
布団の脇に腰を下ろし、彼の顔を覗き込みながらボクは尋ねるともなく口にする。
「…あはは、またやっちゃったー…って感じですよ」
ゼンは、ほぅ…と息を吐き出して、苦笑いする。
ボクに出来ることはないかなぁ…
「なんか欲しいものあるか?」
そう言いつつ、鞄の中の財布に手を伸ばし、こっそりと中を確認。
「…あんまり高いモンはダメだけど、ハーゲン●ッツのアイスぐらいなら買ってきてやるよ!」
高熱を出してるのと混同してしまっている気がするが、気にしては負けなのだ。
「…えっ、ハーゲン●ッツ!?」
ボクのことばに、ゼンの目がきらきらっと輝いた。
「…あ、いえいえ、…一人暮らしの渡月さんにそんな申し訳ない…」
と遠慮するのかと思いきや、
「ドルチ●のミルフィーユの方が好きだなんて、そんな」
ちゃっかり強請られた。
「ドルチ●のミルフィーユ…。知らんな。よし、待ってろ、買ってきてやるよ」
品名などを忘れないように手帳に記すとにっこり笑い、ボクは一旦部屋を後にした。
「ハーゲン●ッ……」
追いかけてきたゼンの声は、まったくボクの耳には届かなくて。
かくして、コンビニのアイスクリーム売り場のケースの前。
手帳と棚とをお辞儀人形みたいに、何度も見直しているボクがいた。
「…なにこれ、ちょっとお高いじゃありませんか!」
思わず育ちが出てしまった。いや、何を混乱しているんだボクは。そもそもこんなお上品なことばを使うような育ちではないじゃないか。落ち着け落ち着け。
確認したはずだったんだが、どうやら500円硬貨と100円硬貨を見間違えたらしい。
そして、仕送り前のボクの財布は、野口さんさえ一人も居ないのだ。えっへん!
…。
買ってきてやると言った手前、どうするか──
:::::::::::::::::::
「ゼン~、買ってきてやったぞー♪」
ことさら明るく声を上げて、彼の部屋に入る。
「…あっ、本当にありがとうございます」
寝てばかりいるのもつまらないと、少し起き上がっていたところのようだった。
上体を起こしたゼンは、にっこりと笑って、ボクを迎えてくれた。
「礼には及ばんよ」
袋から取り出したのは、2本のガ●ガ●君。
「諸事情でこれになっちゃった♪」
うへへっと笑うとボクと、
しょうがないなぁ…と言いつつ穏やかに笑うゼン。
1本をゼンに手渡して、
「あたりが出たら儲けモンだぜ」
そう言うと、ボクはパッケージを開けた。