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ガラガラガラとキャリーケースを引きずってアスファルトの道を歩く。
無意識に、歩幅は大きくなって、
傍から見たらボクはとても急いでいるように見えたろう。
──まぁ、それも、あながち、間違いではないんだけど。
早く、一刻も早く帰りたい。
気持ちは急く。
-10-
階数が表示されると、エレベーターのドアが開くのももどかしく、
─ 10階でエレベーターに乗ってくる人なんて居ないからぶつかるとしても、アイツだけだし ─ 遠慮なく飛びだした。
果たして、ぶつかる運命の相手も居ず(!)
ズカズカと歩いて、「1001」のドアの前。
ピンポーーン(逃げダッシュはお約束で。
「ほれ、土産。これ、めちゃくちゃ美味いんだぜ」
魚の干したのを何枚か、新聞に無造作に包んだそれをひょいと手渡すと、
勝手に冷蔵庫を開いて、スポーツドリンクを1本拝借。
「これが土産て…もうちょい色気出してもえぇん違うか?
って、また勝手に人ン家の冷蔵庫を~!」
「ハ!」
悪態を笑い飛ばし、ペットボトルのキャップを開けた。
「色気をボクに求める時点で、終わってんぞ。
まぁ、硬いコト言うなって、それ渡したじゃん。チャラだろ」
スポーツドリンクを一口。喉が潤う。
「…ねーさん、それは土産言うより、物々交換て言うねんよ」
それでも終始にこやかなカナメの目の前にぺたりと座って、
「まぁ、良いってことよ。気にすんな」
歯に衣着せぬ物言いは、心を許しているなによりの証拠。
頬が弛むのを抑えきれなくて、
ボクはそれを隠すように破顔し、にっかり笑った。
カナメも同じように笑っている。
──心が、あったかく解れる気がした。
「で、トワ?」
彼が指差す先。
「ん?」
自分のキャリーケースをぼんやり眺めた。
「とりあえず、自分の部屋に帰った方がえぇん違うか?」
「うぉぅ…!そう言われりゃ、そうだった!
そんじゃ、またな!」