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「カーナーメーッ!」
殊のほか機嫌良く、ボクは大声で名前を呼びながらドアのチャイムを鳴らした。
「おぅ、開いてんでー」
ボクの声が聞こえたんだろう、カナメは出迎えもせずに声だけで応じる。
遠慮なくドアを開けると、磯の香りがふわりと鼻腔をくすぐった。
部屋を覗くと、先日の土産に齧りついているカナメと目が合う。
「これ、美味いなぁ!」
彼はボクを見て、にっと笑った。
「だろ? 美味いっつったじゃん」
ボクは得意げに笑んで、サンダルをぽんぽんっと脱ぎ捨てると、
座ってるカナメの目の前に滑りこむように座った。
うへへっ。
カナメの顔を見たら、もう我慢が効かなくなった。
うん、我慢の限界!
だらしなく頬を弛ませ開口一番、
「昼間は、どうもありがとう!」
とぺこりと頭を下げた。
========
そう、実は、この機嫌の良さは昼休みからこっち、続いていたのだ。
それは、彼に因って齎された幸福で、
それを知ったボクは居ても立っても居られなくなったんだ。
とりあえず人目のつかないところを探し、
校舎裏まで一目散に走っていって、喜色満面 地団駄を踏んで、
なんとかその場を凌いだ。
そうでもしないと、溢れ続ける喜びで落ち着かないどころか、
どっかに駆けていきそうになっちまうんだもの!
早く会って、直接きちんとお礼を言いたい。
時間なんて、早く過ぎちまえ!!
普段なら、午後からの授業は、眠さとの戦いに陥りやすいのに、
今日はまったく眠くならずに済んだんだ。
そりゃ…内容はまったく、頭に入ってこなかったし、
ニマニマと弛む顔はもうどうしようもなく、ひたすら俯いて過ごしたけれども!
「で、どうするか決めたん?」
問いかけられて、はっとした。
嬉しい嬉しいばっかりで、大事なことをすっかり失念していたよ!!
「うーむむむ」
眉間に皺を寄せると、書類に視線を落とした。
「あれもいいよね、これもいいな…あぁぁ、迷うぜ!!」
さっきまで笑っていたのに、もう難しい顔をして。
そんな風に悶えるボクを、カナメはただ面白そうに笑って眺めていた。