去年の後夜祭。
まったく興味がなかったボクは、運動会が終わるとさっさと自室へ帰ったのだった。
だから、後夜祭がここまで盛大に行われていたなんて、知る由もなく。
キャンプファイヤーで踊った二人はカップルに…なんていう噂があるのも今年知ったこと。
そういわれてみれば。
去年の運動会の後に彼女が出来た友だちに馴れ初めを聞いたら
「気になってたから、フォークダンスに誘って…」なんてことを、言っていたっけ。
そして、今年。
恭一が一緒にフォークダンスを踊ってくれないかな、と誘ってくれた。
嬉しいような、恥ずかしいような…。
差し出された手に、そっと重ねる手。
「リズムに合わせて足を出せばいい」
そう言って、ボクにしか聞こえないように耳元で、右、左、と足運びを教えてくれる。
正直、恥ずかしがってる余裕なんてなかった…!
音楽に合わせて足を出すことだけで、もう必死なんだって!
(しかも超へっぴり腰…)
フォークダンスなんて初めて踊るから…などと、言い訳をしていれば
うっかり足を出し間違え、慌てて引っ込めた瞬間。
「……っ」
繋いだ手に走った、一瞬の緊張。
「わわ…ごめん!足踏んづけたよな!?」
こういうときに足を踏むのは、ベタな展開だけれど。
ますます慌てるボクに、恭一は「大丈夫だよ」と笑ってみせてくれた。
「時間はまだ、あるんだ」
恭一の声に、ボクは少しずつ、落ち着きを取り戻す。
フォークダンスって本当は、順繰りなのかもしれないけれど。
ボクらは、音楽が終わるまで、ずっと手を重ねたままだった。
──頬が熱いのはきっと、キャンプファイヤーが照らしている所為だからね。
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