ボクの手を握り、隣を歩く恭一は
「…ゴーストタウンでデートって……」
そう言って、苦笑する。
いわゆる、Wデートの帰り道。
「お疲れさまっしたー」
ボク以外の3人は、帰り道が同じ方向 ── いや、寮なのだから同じ場所か ── なので、ボクはぺこっとお辞儀して、帰宅の途につこうとした。
けれど直後、先輩たちと一言二言話した恭一が、ボクの手をひょいと取り、
「家まで送るのは、当然じゃないか。」
と笑った。
「え…あっ、うん……ありがと。あ…ども、失礼します」
戸惑いながら後ろを振り返り、再度先輩たちにお辞儀して、ボクも歩き出す。
…何となくだけれど、背中への視線を感じつつ。
「ね…先輩たち、ボクらのことまだ見送ってるみたいじゃね?」
手を繋いでるのを見られて、なんだか恥ずかしくて、そわそわ落ち着かないボクに
「今更、だよ。あの初デートの時も、しっかり見られてたみたいだった。」
恭一は、少し困ったように笑って言う。
繋いだ手は、もちろんそのまま…むしろぎゅっと強く握られたような気すら、する。
今日は、恭一の寮の先輩カップルに連れ出されて、ゴーストタウンヘ出かけたのだ。
先輩はボクに、最近恭一が幸せそうなんで、ボクにも会ってみたくなったんだと言った。
その言葉を聞いて、ボクは胸が熱くなる。
恭一が、傍目からでも幸せそうに見えるということ。
その事実が、ただ嬉しい。
少し熱い頬を夜風が撫でていく帰り道。
繋いだ手に視線を落としながら、
「ね、恭一…先輩って、良い人だね」
とつぶやく。
恭一はボクの方を見て、
「ああ。僕の尊敬する人だよ」
と嬉しそうに微笑んだ。
恭一は、ゴーストタウンのデートだと苦笑いするけれど、
ボクは恭一と一緒なら、どこでだって楽しいんだよ。
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