冬休みの予定。
どんな服を着ていこうかな、という話から、最近、自分の服の趣味が変わってきたということに触れた。
「どんなふうに?」と訊ねてきたものの恭一は、もともとあんまりファッションには興味がないようで、
「パンクにも飽きてきたし、最近はマニッシュな感じが…」とボクの話に、曖昧な顔をする。(関係ないけれど、その表情はちょっと可愛かった。)
まぁ、その人に似合っていれば、別段流行を追いかける必要も、特別着飾る必要もないし、興味の対象なんて、人それぞれだから、それでいいと思う。
うーむ。
もしかしたら、”自分じゃない誰かと一緒に在る”という醍醐味は、こういうことなんだろうか。
知らなかったことを教えあい共有する。
そうしていくことで、他の何でもない「ボクら二人」という世界が構築されていくのかもしれない。
少し前にも、違う話題の中で恭一が「服にはあまり興味がない」と言っていたっけ。
ボクのセンスを押し付ける気はさらさらないにしても、恭一はどんな服が似合うんだろうか、なんてことを、実は今日の昼休みに考えていたのだ。
というのも、あることを思いついたからに他ならなくて。
「……内緒にしとこうかと思ってたけど」
サプライズが好きだから、本当は内緒にしておきたかったことがある。
しかし毎日のようにこうして一緒に過ごしていると、とても隠しとおせるもんではない。
それでなくても、ボクはすぐ顔に出てしまうのだ。
まったく初めてというわけではないにしろ、こんなに大きいものに挑むのは初めてだから、うまく出来るかどうかわからないという不安があって。
でも口に出せば、後には引けなくなる。
ほら、オトコに二言はないって言うじゃないか(……いや、ボクは間違いなく女子だけどね!)
そう考えたボクは、あえて彼に聞いてもらうことにしたんだ。
ボクの打ち明け話に恭一は目を見張り、それから微かに頬を上気させた。
「本当かい?楽しみにしているね」
そう言って彼は、本当に嬉しそうに笑う。
不思議なもので、その笑顔を目にした瞬間、口に出した時以上にやり遂げられそうな気がしてくる。
「ありがとう」
なんだか判らないけれど、ボクは恭一にそう言わずには居られなかった。
それからしばらく、恭一は本を読んでいたし、ボクは手帳にあれやらこれやら書き込んでいた…はずだった。
ふゎ、とあくびを噛み殺し、彼に「眠たくなったかい?」と訊ねられたところまでは、憶えている。
「………ぁれ」
気づいて顔を上げると、見慣れない部屋。
え、なに。ここどこ!?
しばらく続く混乱のあと、あぁここは恭一の部屋かと思い至る。
肩には、毛布がかけられていた。
「あ、起こしちゃったかな」
ボクはどうやら、手帳を枕にテーブルに突っ伏すようにして眠ってしまっていたらしい。
毛布は恭一がかけてくれたものだった。
「…うんー、、、ボクは寝てたんか……?」
目が、半分ぐらいしか開けられない。目を覚ましたものの、睡魔は未だ襲ってきている。
「大丈夫?家まで送るよ」
恭一の声が、遠く聞こえた。
ボクは恭一に手をひかれるまま歩く。
正直、半分以上寝ていた。
無事に帰れたのは、恭一のおかげに他ならない。
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