posted by 渡月・トワヤ
at 09:51:01 │
EDIT
「あれー」
コインランドリーに足を踏み入れて、ボクは思わず声を上げる。
隣人がそこに居て、漫画を読みながら、缶コーヒーなど飲んでいるのが見えたからだ。
ボクの声に、彼は顔を上げて、口の端を上げて笑う。
「おぅ、久しぶりやのぅ。まぁ座れや」
自分の腰掛けている横にあった丸椅子をボクへと勧めてくれるのはいいが…ここはキミの部屋かなにかか?と思わず心の中で、ツッコミ。
「まぁ、そう急ぐなよ」
ボクはくつくつ笑い、ランドリーに放り込んだ洗濯物が回り始めたのを確認して、彼の勧める椅子へ腰掛けた。
「久しぶりやねぇ」
ボクの生活サイクルが変化した所為で、顔を合わせる機会がぐんと減った気がする。
「そりゃ…そっちは色々と忙しそうやからのぅ」
ボクの心の内を見透かされたようで、うっと声に詰まった。
「まぁ、景気良ぅやっとんのは、えぇこっちゃ」
彼は嬉しそうに笑う。
「うん、まぁね…」
ボクは頬にさっと朱がさす気がして、思わず手のひらで押さえる。
それからボクは、彼のそんな笑顔に、心の中で「ありがとう」と言う。
そして、これからもきっと彼に対して何度も言うんだと、変な確信があったりも、する。
どんだけ口に出すか、は定かじゃないけどな。
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