紙の袋に入れられたたいやきはまだホカホカだ。
今日みたいに風が冷たい日には、その温かさが嬉しいもの。
ショッピングセンターを出て、公園の遊歩道を歩いた。
ほどなく、ベンチが空いていたのを見つけたので、そこに並んで腰掛ける。
紙袋の口を開いたら、ほわんと甘いにおい。
きみとボクとで一個ずつ。
そういえば、タイヤキを食べる時って、頭からの人と尻尾からの人が居るらしい。
腹からガブっといく人も居るのかな?
恭一はどっから食うのだろうか?
訊こうかどうしようかちょっとした逡巡の後…そんな、どうでもいいこと訊くまでもないか、と自己完結。
「いっただっきまー…」
「時にトワヤ」
恭一の呼びかけに、ストップモーション。
「…ン?」
タイヤキを迎えるために大きな口を開けたまま、視線だけを彼に向けたら、
「…トワヤはタイヤキを、どっちから食べるのかなと、ね」
ボクの顔を見て少し困ったように笑いながら、そう訊ねる。
あれ?今さっき、ボクはその問いを……自分の頭の中を巡った質問が彼の口から出てくるなんて予想外だったし、今その話しなかったっけ、と一瞬混乱する。
でも、同じこと、考えてたんだね。
互いのことなら何だって知りたいと思っているのは、同じだったんだ。
そう思うと、心臓がとくんと跳ねる。
「ボクは頭からだよ……恭一は?」
「僕も頭からだな…というよりは」
というより、なんだろう?
「尻尾を最後に食べたいんだ」
その言葉にボクの表情は、ぱっと明るくなる。
「あぁ、判る!餡子のないところを最後に食べたいんよねぇ…」
カリッとした端っこの方とか、甘くない生地のとこだけを最後に食べるのは、
アイスクリームのコーンを食べる時の気持ちと似ている。
ボクは実際、甘いものも好きだけど、その後のお口直し的な部分の方が大好きなのだ。
自然、表情が緩む。
「そうそう。餡子の薄くてカリ、としてるところをね」
恭一の言葉に、ボクはうんうんと何度も頷いた。
タイヤキの尻尾ひとつで、こんなに満たされるなんて、ボクもつくづく単純だと思う。
でも、こんな些細なことでしあわせを感じられることって、大切なんじゃないだろうか。
寒空の下。
温かくて甘い、たいやきデート。
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