posted by 渡月・トワヤ
at 15:55:12 │
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赤く色づいた街路樹の下を歩きながら、考える。
昨日は思わず「りんごでも剥こうか?」と訊き「病人じゃないんだから」と苦笑いされちまった。
生きて帰ってきてくれたという安堵とは逆に、やっぱり…動揺していたみたいだ。
傷は痛むだろうけど心は元気みたいだから、時間を持て余しているんじゃないかなぁ。
お見舞いに、本でも持っていこうかなぁ。
「まだ、痛むよな」
昨日の今日で当然なのだけれど、つい訊ねてしまう。
「幾分、良くはなっているよ」
彼の笑顔が、嬉しい。
包帯の巻かれた腕に触れるのは憚られるから、彼の左手のひらをボクの両のてのひらでそっと包み込んだ。
「早く、良くなるといいね」
そしたら、また寒い夜道を散歩しよう。
吐く息が白いと言って肩を竦め、眠そうに目をこするボクの手を引いて
「…しょうがないな」
とやさしく笑っていてほしい。
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