は?
いちごが上に…?
皆一様に、眉間に皺を寄せつつ首を傾げる。
ボクはというと他聞にもれず、彼女たちと一緒になって首を傾げていた。
苺の帽子をかぶった、ハロウィンの時のまいおを思い出しちゃって、頭の中は満面笑顔の彼に占拠されていたのだ。それ以上の思案が浮かぶ余地が、ボクにはなかった。
「わかんないかなぁ…?」
しょうがないなぁ、とでも言わんばかりにケータイのカレンダーを表示させ、ぐるりとボクらへ見せてきた。そして一瞬の間の後「…あぁ」と納得したようなため息が、じわじわとあちこちから漏れる。
「じゃあ、ケーキの日って毎月あるんだね」
ボクは彼女に問う。
「あ、うん。そうなるね」
このコ、どっかのケーキ屋でバイトでも始めたんだろうか…?
とまれ、彼女のおかげ(?)で頭の中は、スウィーツのことでいっぱい。
今日の放課後は、絶対、恭一とケーキを食べに行こうと心に決めた。
「○○の日」とか、普段はあまり気にしないけれど、ケーキは別腹って言うじゃない。
銀杏並木の下を歩きながら、隣を歩く恭一を見上げ、ボクはにぃっと笑った。
「…というワケで、今日はケーキを食いに行こうと思うんだー」
「……というわけでって」
恭一が苦笑するのも無理はない。休み時間の顛末をまだ話していないのだから。
「ふふっ。今日はケーキの日なんだって。どうしてだか判る?」
「あぁ…それで」
恭一はボクの唐突さに合点がいったようで微笑んだ。
「…でも、それは知らないな……どうしてだろう?」
「いちごが上に乗っかってるからなんだって」
クラスメイトと同じようにヒントを少しずつ。
「……あぁ、なるほど。それは予想できなかったな」
ちょ…、なんでそれで納得できるんだよー!
ボクは思わず、アヒル口。
西日が射し込む、とあるケーキ屋のイートインコーナー。
恭一は、ブラックコーヒーとモンブラン。
ボクはダージリンティといちじくのタルトをチョイス。
席に向かい合って座って、いただきます!
「…あー、そのモンブランも美味そう。一口ちょうだい♪」
言うが早いが、フォークをぷすりと刺し、一口食べた。
恭一は、しょうがないなぁ…と、ボクを見てやさしく笑う。
カップから立ち上る湯気が、ふわりふわりと揺れていた。
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