屋上へと続く重い鉄のドアを開くと、びゅうっと凍てつくような風が吹き込んできて、ボクは思わず、ぎゅっと目を瞑った。
さすがにこの季節、さらに天気は曇り空ともなると、昼休みを屋上で過ごそうという物好きはあまりいなくて、ボクは適当な場所を見つけ、壁に寄りかかる。
「…寒いね」
ボクが呟くと、もうすぐ12月だからね、と彼は言った。
そう言うのがいかにも恭一らしいなぁ…ってボクは安心してしまう。
ぴゅう、と吹き抜けた風。
思わず「わっ」と首を竦めたボクを、恭一は少し自分の方へ引き寄せて、
「ちゃんと防寒しないと風邪ひくぞ」
と言いながら、自分が巻いていたマフラーを少し緩めボクへと巻きつけてくれた。
「…あ、ありがと」
ぐっと近づく距離に、耳まで熱くなってくのが自分でも判る。
ちらっと彼を見上げると、思わず視線はぶつかって
「ええとあのっ…次からはその、気をつけるよ」
慌てて俯き、しどろもどろ。
「…ああ、そうしてくれ」
くすっと笑う声が頭の上から聞こえ、彼はボクの頭をぽんぽんと撫でた。
恭一はいつだって、ボクがやりたいことやしたいこと、行きたいところへ付き合ってくれる。
理由を聞かないのは、もしかしたら、ボクが「やりたい」と思うことは基本的にその時々の思いつきで理由などないのだと、どうしてだかもうすでに知っているからかもしれない。
つないだ手を恭一のコートのポケットに突っ込んで、一緒に空を渡る風を眺めた。
「…ねぇ、恭一」
「ん?」
「…寒いね」
おいおい、さっきも同じこと言ったぞ、とでも言わんばかりに恭一は苦笑いする。
「けど…」
ボクはポケットの中でつながれた手に力をこめて、いたずらっぽく彼を見る。
「すごく、あったかいね」
恭一も、ぎゅっと手を握り返して
「…ああ、暖かいな」
ボクらは、まるで秘密を共有するみたいにこっそりと微笑みあった。
もっともっと、ボクはきみのことを知りたい。
もっともっと、きみにボクのことを知ってほしい。
だから。
どんな些細なことでもいい、ボクはきみとたくさんの話をしたいと思う。
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