朝、コインランドリーへ洗濯物を持っていこうとすると、守衛のおじさんに呼び止められた。
「荷物が届いてるから、帰りにでも寄ってくれるかい?」
「はーい、わっかりましたー」
今日はボクの誕生日で。
おじさんの言葉を聞いて、そわそわするなという方が無理な話。
ボクは急いでコインランドリーを回すと、守衛室へ駆けていく。
洗濯が終わり、部屋へ荷物を持ち帰った。
やっぱり…一番気になるのから、開けるべきでしょう。(がさごそ
恭一からの贈り物は、ボタニカルアートよろしく、美しい胡蝶蘭が描かれた、蒼い栞だった。
その色彩のコントラストはどこかクラシカルで、なんとなく品を感じさせる。それがいかにも恭一らしいというか、ボクにとっては恭一の分身であるようにすら感じられて。
どうしようもなく嬉しくて「あは」と笑ってしまった。
それにしても、胡蝶蘭…、か。
育てるのは難しいというイメージ。
もともとが東南アジア原産なのだから、日本の気候は生きていくには過酷すぎるのだろう。
でも、絵であれば枯れることはない。
だからボクは、生花よりボタニカルアートや樹脂粘土で作った花を選んでしまうのだと思う。
しばらくボンヤリと栞を眺めていて、ボクはふと、恭一と以前交わした会話のひとつを思い出した。
── もしかして。
そう思い立つと、確かめずには居られない。
本棚から1冊の本を取り出して、パラパラとページを繰り、目当ての項目を探した。
果たして、そのページには。
ボクが思っていた以上の答えが書いてあり、ボクはひどく驚いてしまう。
油断すると、うっかり涙が零れてしまいそうなほどに、胸がいっぱいになって。
本当に……こういうところが、恭一らしいところなのだと。
言葉で説明などできなくても、ボクはもう、彼のことを理解している。
ボクはそのページに目を落としたまま、頬を上気させてこの幸福を噛みしめる。
PR