そんなワケで寝付けるワケもなく、ボクは読書でもしようか、と本を取り出した。まず、小説を取り出したものの、寝付けないようなそわそわした心では、活字はただの文字の羅列みたいで、ちっとも頭に入ってこない。
こりゃあダメだな…、と小説は諦めて、歴史資料的な本を取り出す。
敷かれていた蒲団にごろりと俯せて、本を開いていたとき。
ふすまを遠慮がちにトントンとノックするような音が聞こえてきた。
「…トワヤさん、もう寝ちゃいました?」
ボクは反射的に飛び起きて、布団に正座してしまう。
しかし、あの声は、ご両親の…お母さんのそれではないと気づき、
「あ、いや…寝てないよ」
答えて、少しふすまを開いた。
目の前には、恭一の妹――美弥子ちゃん――が居て。
「何か…用事かな?」
彼女の、ヤケにキラキラした表情に釣られるように微笑み、思わず
「そこ、寒いよね。入るかい?」と問うた言への、
「いいんすかっ?」その即答に、彼女はボクがそう言うのを見越していたのかな、と思わず苦笑い。
「…で、お兄ちゃんとはどこで?」
「…ん?ってえぇ!どこでって…」
ストレートすぎる!
恭一から「いろいろと質問されるかもね」とは言われていたけれど、まさか、この時間にこうやって部屋までやってきて尋ねられるなんてさすがに思わなかったし、これまでも、特に誰かから恭一との馴れ初めを(しかもこんなにズケっと)訊かれたこともなかったので、正直面食らっていた。
「…んと、どこでったって。クラスメイトだよ」
手持ちぶさたで、枕を軽く抱き締めて。
「あ、そうなのかー。で、どうやって付き合いはじめたんすか?」
お母さんの話では、彼女も能力者だと言っていたっけ。
「んー…3ヶ月前の、アリストライアングルがきっかけだよ」
「…へぇ」
ボクは言葉を選びつつ、できるだけ彼女の質問には答えようと思った。
まぁ…ある程度は、オブラートに包みつつ、ね。
彼女は恭一とは、良い意味で正反対な感じだな、と話をしつつ思う。
人なつこくて、にこにこと良く笑う。
どちらかと言うと、ボクに似ているのかもしれないな。
そう思えば、なんだか可愛くも思えてきて。
「…ふ、ふぁぁ」
彼女がこの部屋へ訪れてからとうに1時間は経っていて、さすがに彼女も眠たくなったようだ。
そろそろ帰った方がいいんじゃないのかな、と言うボクの言葉に
「んぅ~……」と生返事をしつつ、うとうとと舟を漕いでいる。
…えぇと、彼女の部屋は聞いてないけど、恭一の部屋のとなりだろうか?
送ってって違ったら、なんかいろいろとマズい気もする…
暫く考えてみたものの、ボクの方も緊張がようやく解けてきたようで、だいぶ眠たくなってきていて、思考がまともに働かない。
しょうがない、か。
彼女に布団をかけてやり、自分も少し離れるように毛布をかぶって丸まった。
女の子同士だし…許せ。
ボクはなんとなく、頭の中で恭一に謝った。
…明日、兄妹ケンカが勃発しないことを祈るのみだ…!
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