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Hermitage

PBW「シルバーレイン」のキャラクター、渡月・トワヤ(b63279)の日記。この世界をご存知ない方はブラウザバックをお勧めします。

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  posted by at 21:42:39 │EDIT
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緊張と安堵と。

  posted by 渡月・トワヤ at 20:41:49 │EDIT
JRの改札口。
この駅には、改札口はここしかないので迷う心配もなく。
ボクはひとり、待っていた。

さっきガタンガタンと電車がホームへ滑り込む音が聞こえてきたし、ちらほらと人が改札を抜けてくる。
そろそろ恭一も、あの階段を降りてくるはずだ。

「…あっ、きょういちー!」
鞄を抱えて降りてくる彼を見つけると、ボクは嬉しくなって思わず大声で名前を呼びながら満面笑顔で手を振っていた。

「ただいまー」
玄関を開け、恭一を促す。
「はぁい。いらっしゃい」
母は台所から出来て、上り框に膝をついて出迎える。
母は誰に対しても、いつもこうなのだ。
「…はじめまして。お邪魔します。」
まさかここで出迎えられるとは思わなかったのだろう、いささか恭一は驚いたようだ。
しかしすぐに礼儀正しく挨拶をする。
「さぁ、そこは寒いでしょう、早く入ってね」
母はにこにことスリッパを手で指し示し、恭一を中へと招き入れる。
ボクと彼が居間へ足を踏み入れると同時に、
「いらっしゃーい!」
先立って彼が来ることを聞いていた弟妹は、元気よく彼を出迎えた。ここでクラッカーが鳴っていれば、さながらパーティの主役登場場面みたいだ。
しかし初対面の者に対するはにかみと、抑えきれない好奇心が表情からは滲み出ていて、姉として少々恥ずかしい。
「…こんにちは。はじめまして」
彼らの勢いに気圧されつつも、年長者の余裕で切り返す恭一。さすがである。
「ってか、ボクへおかえりはないんか?!」
「…あーおかえりー」
「出かけてたんだ?」
二人とも、身内に対しては、なんともおざなりである反抗期。

夕食前。
居間のソファに並んで腰掛けて、両親と向かい合った。
父はなんだか、目のやり場に困るようで、少し居心地が悪そうではある。
「…んと、今、お付き合いしてる神谷恭一くん……で。父と母で…あっちに居るのがおとうt……」
「いや、そこまでは今はえぇ」
さらりとツッコんだ父も何から話すか、しばし逡巡し。
「…まあ、真面目そうな人で安心したよ。」
父は湯呑に手を伸ばし、一口お茶を啜った。ボクは隣に座る恭一をちらりと見る。緊張しているはずなのに、いつもと変わらない表情。
「いずれにしても、トワヤは、決めたら親がどうのこうの言ったところで、頑として譲らんけどな」
父は半ば諦めたように言い、恭一が少し表情を崩す。
対照的に、ボクは異議あり、と言わんばかりに唇を尖がらせた。
「…ただ、まぁ……君らはまだ高校生だ。節度ある付き合いをするように」
その言葉に、恭一がすっと、ひときわ背筋を伸ばして。
「……はい。」
はっきりとした声で明確に返事をする。
ボクの頬に、さっと朱が差して思わず俯いた。
「よし!じゃあ、とりあえず飯にしようか。母さん」


賑々しい夕飯も終わり、ボクらは鎌倉へ帰るために、父の運転する車で家を出た。
「神谷君は能力者、だったね」
車が発進してほどなく、父はそう切り出した。
ボクはシートにもたれ、平静を装って窓の外を流れる景色を見ていた。
「……はい」
シートに投げ出していたボクの手に、ふわりと恭一は手を重ねつつ、静かに返事をする。
その手のぬくもりは、ボクをどこまでも安心させる。
「もう聞いているかもしれないけれど、家は私とトワヤがそうだ。」
父が何を言わんとしているのか、まったく予測できなくて。
重ねられた手の下で己の手を握りしめた。
「…くどいことを言うつもりはない、が……トワヤを頼んだよ」
その言葉に、恭一はボクが握りしめた手を包み込むようにして、ぎゅっと握る。
ボクは車窓から運転席の父へと視線を移す。
「……もちろんです。全力で護ります。」
恭一は、きっぱりと言い切った。

誰かに、大事にされ、護られる、ということ。
自分は庇護されるだけの弱い存在のつもりはない。
自分だって、誰かを大事にし、護る存在で在りたいと思っている。
けれどやはり、恭一から大事にされていると感じられるのは、正直言ってたまらなく嬉しい。

前を向いたままの父の表情は窺い知れない。
ボクは視線を、父から隣に座る恭一に移し、彼はそれに微かに笑って応えてくれた。
父はもう一度だけ
「…頼んだぞ」
つぶやくようにそれだけ言うと、それ以上何も言わなかった。

ボクらももう何も言わず、車内は控えめなラジオの音だけが流れていた。
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