ボクはカフェオレを淹れ、さっそく借りてきた本を開いた。
読書と言えば、栞。
特に文庫タイプの本を読むときには、ちょっと目を離すときにでもパタンと開いておいておけなくて、都度、栞が必要となる。
本を買うとおまけでもらえる紙のタイプは、詩集のお気に入りのページに挟んでおいたり、ちょい読みしたいときに挟んだりと、その気軽さとは裏腹にかなり重宝している現実。実際、ボクの机の引き出しには常時、数枚のストックがある。
今読み始めた本はとある作家さんのエッセイで、物の見方を、少しだけ柔らかくさせてくれるようだ。
初めの10ページほどを読んだあたりで、ボクはだいぶそれを気に入ってしまった。こうなると都度借りるのは少々面倒になり、古本屋めぐりを余儀なくされるワケだけれども、それがいつになるのかは、わからない。
大事なことを忘れてはいけないから、手帳に出版社と作家、タイトルをメモしておくことにする。
ちょっとだけ、のつもりだったから、いつもの紙の栞でいいんだけれど…
手に取ったのは、恭一から贈られた蒼い栞。
大好きな本には、分相応なものを。
他人から見れば些末極まりないことだろうけれど、ボクのこだわりが、この本へは迷わずにそれを選びとらせる。
ボクは栞を手に、しばらくそれをぼぅっと見つめていた。
それをボクへの贈り物に選んだ、尤も彼らしい理由と気持ちを想い、胸がぎゅっと締め付けられていたからだ。
ボクは何を返せるのだろうか、その深い想いに。
「何をする必要もない。」
彼がきっとこう言うだろうということは、重ねた時間が教えてくれる。
これから何度でも、この栞を目にするたび、手に取るたびに、決して色褪せることなどない彼の想いが、何度でもボクの胸に静かに押し寄せるのだろう。
だとしたらボクは、その穏やかで力強い波を、
その永遠と呼べる想いを、何度でも受け止めてあげたら良いのだろうか。
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