ポーランドから帰ってきて、未だ文字がさっぱり読めないボクは、それでもそれなりにこの状況を楽しんでいた。
まぁ、それも前もって知っていたからこその余裕。
今日から普段どおりにガッコに登校したものの、誤魔化すのが下手くそなボクを心配した恭一は「授業は引き続き偽身符で受けたほうがいい」と勧めてくれ、ボクはそれもそうだと従うことにした。
「昼飯を一緒に食えないのは我慢するとしても、下校ぐらいは恭一と一緒にしたいから校門前で待ち伏せるよ!」
ボクがそう言うと
「待ち伏せって……昼休みは、屋上で待ってればいいだろう」と笑った。
わ、恭一って頭いいなぁ!
そんなこんなで、ボクは今ガッコの屋上に居る。
先日まで春の陽気だったのに、今朝はこの雨のせいか少し肌寒くて。
雨をしのぎながら、携帯音楽プレイヤーで音楽を聴き、空を見あげて考え事。
他にできることって、ないんだもの。
── それでも、今此処にボクが居るのは、少しの時間でも彼の傍にいたいからだ。
「屋上で待っていればいいだろう」と笑った彼の言葉を聞いたそのときは、ただ単に「良いアイディアだな」って思ったけれど。
もしかしたら恭一も、ボクと同じ気持ちで居てくれているのだろうか。
だとしたら、ボクは………
ちょうどイヤホンから流れてきたのは、お気に入りの曲。
この曲を初めて聴いたのは、恭一と初めて手をつないだころと、前後する。
しかもなんだか、恭一が作ったんじゃないかと思えるような、
あるいは、
恭一にこう想われたいな、というボクの願い。
ボクはこの歌が大好きだ。
それはとても、やさしくて、おだやかな、あいのうただから。
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