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嘗てより決めていたこと。
春って季節は、移動に適してるのかなぁ。
それはまるで、春風のように ふうわりと。
晩飯の準備をしているころ、入寮届が無事に受理されたと、連絡がきた。
もともと引越すことは決めていたのだけれど、ぎりぎりまで ─ まぁ、今もこうして飯など作っているワケで ─ 普通に生活していたのもあって、荷物が詰め込まれた段ボールはまだ数えるほどしかなく、それも中に何を入れたか書けないでいたので、ふたをすることもできず床に置かれたまま。
この調子だと、しばらくは、紫陽花会館と白銀寮とを行き来する生活になるだろう。
まぁ、来週には、後期の期末考査もあるし、その後で本格的に作業するかな。
荷物を運ぶの、恭一も手伝ってくれるって、言ってたし……こういうとき、男の子ってすごく頼りになるなぁって、思う。
夕飯を済ませたボクは、洗面用具や当面の着替え、勉強道具や数冊の本だけをキャリーバッグに詰めたところで、ぐるりと部屋を見渡した。
思えば丸二年、ボクはこの部屋で暮らしたことになるわけだ。
…いろんなものが増えちゃってるなぁ。
知らない間に増えていた本や雑貨に、ボクは薄く苦笑する。
だけどそれはそのまま、ボクが此処に確かに生きていた証。
窓辺に吊るした何個かのサンキャッチャーのうち、月の形のクリスタルオーナメントと、”Rainbow Maker”の名にふさわしい7色のクリスタルが連なったヤツを外して、鞄に入れた。
さっそく、新しい部屋の窓に吊るそうと思って。
今度生活する寮は、恭一が住んでいるところ。
何度か彼の部屋にお邪魔した際に見かけた、雑談室で談笑する皆の雰囲気がとても良く、まるで常春のようだと思った。
「みんないい人たちそうだね」
ボクがそう零すと、
「ああ」と恭一も少しうれしそうに笑ったっけ。
ふんわりとして、暖かい。
ボクはその雰囲気に甚く惹かれた。そしていつしか、自分もその仲間になりたいと思いはじめていたのだ。
ボクは新しい部屋の様子を思い描く。
春風に揺れるカーテンは、ミントグリーンが良いな。
陽射しを集めて零れるプリズムは、床に広がって、
ボクはそこで、大好きな本を読むんだ。
隣には、恭一が居て、やさしく微笑んでいるかな。
そんなふうに穏やかに。
春の陽射しのように柔らかく暖かく、これからのボクの生活が降り積もりますように。