テスト期間は、泣いても笑っても明日まで。
勉強にもだいぶ目処がついたので、ボクは休憩をかねて白銀寮の屋上に上がることにした。
窓から降り注ぐ、やわらかな陽射しに誘われたんだよね。
屋上への扉を開けるといきなり強い風に吹きつけられ、ボクは思わず「お、おぉぉ?」と声を漏らしてよろめいた。
これは、間違いなく春一番じゃない?
春の気配に、ボクの心は浮き足立った。
あおる強風に良いように髪を弄ばれながら、ボクは歩を進めて柵にもたれる。
このテストが終わればすぐに春休み。それが空けたら(今回のテストで軒並み0点でも取らないかぎり留年の心配もない)ボクも高校3年生だ。
こんだけデカい学校だ。
恭一や景持とは別々のクラスに、ひいては別々のキャンパスになっちゃうのは、想像に容易い。
1年ン時一緒に騒いでいたクラスメイトたちも5人ぐらはいたのに、2年では誰とも一緒のクラスになれなかった。結社や依頼で知り合った仲間すら、誰とも一緒になれなかったなぁ。
少し寂しい気もするけれど、まぁ、しょうがない。
こういうのは、なるようにしか、ならんもんね。
柵にもたれたまま、傾きかけた太陽が照らす景色を見渡した。
視界に入った建物や木々にはすべて、はちみついろの薄布がかけられ、
それらは、淡く金色に光を放っているみたいだ。
やっぱり、屋上から眺める景色は好きだな。
寒くもなく、暑くもない。
そんな季節の、この時間が一等良い。
この季節なら、屋上で何時間も過ごせる自信がある。
さすがに今日は、まだテスト勉強中。
もともと何時間も此処で過ごすつもりがなかったから、温かいカフェオレの入ったステンのマグや、小説を持ってきていない。
ボクは涙を飲み、屋上を後にする。
ここで何時間も油を売るわけにはいかないのだ。
高校3年生。
受験生。
来年の今頃は、今のボクが目指している未来にきちんとたどり着くことができるよう、今やるべきことをやる。
ただ、それだけを日々積み重ねていこううと思う。
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