節電意識が高まっている今年、図書館が入っている施設もご多聞にもれず、照りつける太陽の下から足を踏み入れても、さっと体表温度が下がるほどの温度設定にはなっていないようだ。まぁ、1日じゅうそこに居ても、体調を崩さないことを考えると充分快適な環境なのだけれど、首筋を滴る汗が引くまでは、そんな悠長なことばかりも言ってられないのが悲しい人間の性。
汗でベタベタしている今は、集中力などあるワケもなく、勉強をする気も起きない。ボクはエントランスに誂えてあるベンチに腰掛けると、ふぅ…と深く息を吐き出しながら、扇子でパタパタと扇ぎ、落ち着くまでそこに居ることにした。
携帯音楽プレイヤーのイヤホンから聴こえてきたのは、とあるヘヴィメタロックのバンドの曲。
ヘヴィメタルといっても、今耳に届いているこの曲はとてもメロディアスで重厚。このバンドの曲の中で、ボクの一番のお気に入りだ。
目を閉じて、旋律を小さくハミング。
男性的で力強く、されど一貫して柔らかい主旋律が物悲しさを内包する。
──あ!
ボクは突然、頭の中の点と点が繋がったようにはっとして、目を開いた。
そうか、こういうことか。
この曲を久しぶりに耳にし、ああやっぱり好きだな、でもどうして好きなのかな、って理由を考えるように重なった面影。
「トワヤの勘違いだよ」って、笑われちゃっても構わない。
ボクは今でも自分の直感を信じているし、誇りに思っているんだ。
この曲を好きになった自分が彼に惹かれることは、水が高いところから低いところへ流れるように当然のことなのだと納得できた。
自分が一番心動かされる部分の。
その根底にあるものが、この曲にも彼にも、同じようにあると、ボクは感じたのだ。
うまく言えないけれど。
ボクは、ボクにだけ見えるあなたを大事にしたいと思う。
もし傷ついてしまうような出来事に出合うことがあっても、
その心の痛みを無理に吹き飛ばそうなどとせず、
あなたの傷が癒えるまで、そっと包み込むように寄り添うことを赦される存在でありたいと願う。
それは、心の奥の方で、ボク自身がこうして気づく前から、芽生えていた願い。
そして今も、それはずっと、枯れることなく、ボクの心の中に。
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