日中は(暑いのもあるし)自室や図書館で勉強を毎日頑張ってる。
友達との会話でも進路のことが話題に上ることが増えたし、実際半年後には、受験シーズンまっただ中なのだよね。
彼が忙しいながらも時間のあるときには勉強を見てくれることも、勉強を続けられる大きな理由のひとつだ。
「気が乗らないことでも、ふたりなら頑張れるだろ」そう言って、ボクの髪の毛をくしゃりと撫でて笑う。
そのたびに、ボクは泣きたいほどの幸福を感じずにはいられなくて。
ずっと彼を見つめていたら、本当に泣いてしまいそうになるから、
「う、うん」と慌てて問題集に向き直る。
…頑張りたい。
やっぱり少し挫けそうになるときもあるけれど、せめて応援してくれる気持ちにだけは応えたい。
月は半月。上弦の月。
あの夜の屋上から流れはじめたのは、月を満ちさせていく時間。
実感があるようなないような。
半ば夢の続きを見ているかのような、どこかふわふわした感覚。
ぬるい風が、ゆるりと頬をなでた。
こんな風みたいに、やさしい気持ちを持ち続けていたい。
あの人がくれるたくさんのもの。
そのすべてをいつでも両手を広げて受け止めたい。
ボクが彼にしてあげられることはきっと少ないけれど、ボクでなきゃダメなことは、絶対にあるはずだ。
ふと目をとめた生垣の上。
自由にのびやかに枝を伸ばして、ボクの頭上を覆う百日紅は濃い桃色の花。
"サルスベリ"の名に相応しく、つるりと滑らかな木肌が、月光を柔らかく反射している。
腕を伸ばし、その木肌にそっと触れれば、ボクのこころも、どこかしら、
ひんやり つるりと滑らかに。
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