師走に入ってからというもの、ますます時間があっという間に過ぎていくような気がしている。陽が暮れるのが早いから、相対的に一日が早く終わるように感じられるのかもしれない。
世情を反映してか、街のクリスマスイルミネーションはいつもより控えめで、郵便局で見かける年賀状の広告も、目の前をするりと上滑りする感じ。ちっとも頭に入ってこない。
実はさっき、12月も上旬が過ぎ去ろうとしているのに気づいて「ひぃ」と小さく叫んだのは内緒だ。
先日、彼とデートしたけれど、それ以外には別段変わり映えしない毎日で。
寮と学校と図書館と、時折塾とを行き来する。
そんな受験生には、カレンダーを見ている余裕(元気)はあまりないのだ。
それでも12月も中旬。
学園内には、どこかしらふわふわした空気が漂っていたみたいだ。
ボクがうっかりぼんやりしているあいだに、抜かりない人たちの手によるクリスマスパーティのお誘いチラシが所せましと貼り付けてあり、ボクは目を瞠った。
というかそこまできて初めて、「え?あ、もうすぐクリスマスだっけ?」と考えるような始末。ということは、もうすぐボクの誕生日も来るわけで。
…17歳もあと2週間足らずかぁ。いろいろなことがあったけれど、終わりよければなんとやら。いい一年だったよな。
なんとはなしの感慨を持ちつつ、一枚のチラシに目を留めた。
主催者の名は、同じ寮に住む子だった。
校庭でカマクラ(もどき)を作り、その中で楽しむというもの。
先日、だいちにデートに連れてってもらったばっかりだから、さすがにこれにも連れてってくれなんてワガママは言えないなぁ。
他にもオルゴール作りなんてのもあって、う~ん、そそられるんだけれど。
でも「受験生だろ」って怒られちゃうかもね。
ボクはチラシの前で小さな溜息をひとつつくと、苦笑いした。
クリスマスは来年だってくるのだし、彼と一緒に過ごせるのならば、本当は、おでかけだろうと寮で過ごすのだろうと結局はボクにとっては同じことなのだ。彼が傍に居てくれるということが、ボクには一番大切なことなのだから。
一緒にお出かけするのももちろん楽しいけれど、部屋でグロギ(っぽいブドウジュース)を作って、ケーキでも一緒に食べ、「メリークリスマス」と微笑みあう。それだけですごく贅沢な時間に思える。
そんな光景をちょっと想像するだけでも、充分に胸が温まるのが、なによりの証拠。
……おっといけない。顔がニヤついちゃってるぜ。(キリッ
下校する段になり、校門前で耳にしたきな臭い事件。
どうやら、来週の日曜日には、"おしごと"が待っているらしい。
ボクがシルフィードである以上できるだけ参加するつもりではあるけれど(如何せん背後事情が)今ひとつハッキリしないところもあって、ボクは落ち着かなくなる。
無理なんてしちゃいけないのは判っているけれど、なんだかもどかしくて。
つむじ風が吹き抜ける。
この調子じゃ、もうすぐ雪が降るかもしれないなぁ。
ボクは一度空を仰いでからマフラーに鼻まで埋めると、図書館に向かって歩き出す。
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