嬉しい勢いでドアを開けると、もうすでに何人もの人が集まっていて、クッキーを片手に談笑をしていた。ちょっとしたホームパーティの様相を呈している。
初対面の人がほとんどだったし、こんな華やかな場所は久しぶりで、ボクは少し…いやかなり舞い上がってしまった。しかし、ここでひるんではいけない!(変な度胸はある)
「お誘いありがとう!ほとんどの人、はじめましてー!」
なんだかよく分からない挨拶を飛ばしたあと、ふわふわと視線を泳がせ首謀者(…あ、違った、主催者だ)である先輩の姿を探していると、彼の方がボクに気づいてくれた。
「久しぶりだな」と手を振って、元気だったか?と笑いかけてくれる。
「うん、チョー元気!」
満面笑顔でサムズアップ。
そんなボクの笑顔に納得したように、そうみたいだなと笑い、風の噂でボク(と恋人)のことを聞き及んでいると彼は言った。
へ……?
……て、ぎゃあ!
風の噂って、日本全国津々浦々を回っているような人にまで届いちまうもんなの?!「彼とは良い感じみたいで」とか……うわぁ!た、確かにそうだけれどもっ!
ボクは慌てふためいて、ジュースのカップを取り落としそうになる。
ボクらの会話をすぐ傍で聞いていたらしい女の子は
「あら?」
と首をかしげ、「トワヤの彼氏なら知ってるわ、世間は狭いのね」とにっこり笑いかけてくれたりもして。
しかし、こういうふうに恋人の居ない場所で相手のことについて触れられると、どういうふうに対応したらいいのか分からなくなる。ボクの恋人はそりゃ最高のひとだけれど、それを素直に言うのは照れくさいし、かといって遜るのは、彼に対して失礼だし……。
恥ずかしさが先立って、穴があったら入りたいというか、クッションか何かで顔を覆ってしまいたいというか。
赤面して「あぅあぅ」言うだけしかできない自分がもどかしい。
にっこり笑いかけてくれた女の子にも「はじめまして」と言って照れ笑いを浮かべるのが精一杯だった。
恋人のことを切欠にしてもう少しお話しても良かったかもしれないなぁ…なんて思ったけれど、それも後の祭り。パーティの時間は、大きくうねるように賑々しく進んでいく。
まぁでも、1年以上前に依頼で一度一緒した人がボクのことを覚えていてくれてたこともすごく嬉しかったし、こういうにぎやかな場所は、気分が浮き立って良い。
気を取り直して、ジュースをおかわりした。(クッキーのおかわりは謹んでご辞退もうしあげました)
誘ってくれた先輩に感謝しつつ、ボクはその時間を満喫する。
たのしくて自然と笑顔があふれてきて、
こういうのをしあわせと呼ぶのかな。
「ハッピーファニーバレンタイン!」
(るろうのパチシエに就職が決まりそうな先輩のためにも※ネタです)
ジュースのカップを小さく掲げて、もう一度乾杯!
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