posted by 渡月・トワヤ
at 19:30:35 │
EDIT
ボクは陽が暮れるのを待って、寮の屋上に上がった。
あまり長居をするつもりはなかったけれど雪が舞ってもおかしくはない寒い日だったから、防寒対策はバッチリと。
陽がとっぷりと沈んで、あたりが闇に包まれるころ。
西の中空に大きく輝くジュピター。
そして視線を少し下げると、木星よりはいくぶん控えめに、されど充分な存在感を放つビーナス。
さらに視線を地平へ下ろす過程にきれいな三日月が浮かんでいる。
あぁ、まるで月のお皿に星の滴が落ちていく一場面を切り取った幻想的な絵を見ているみたいだ。
その三つの輝きをただ眺めていただけなのに、
ボクの中に、とくとくと何かが流れ込むような、あるいは、背中をそっとさすってもらっているような感覚になり、きゅっと縮こまっていた心がなんとなく緩む気がした。
そういえば……
タロットカードの「星」は希望を表すのだっけ。
西の空を見ているうちに、なんとなくそういうことを思い出して、なるほどな、と納得したボクがいる。
自分の胸をあったかく満たすもの。
それに気づいて、ボクはふっと表情を綻ばせた。
吹き抜ける風は未だ冷たく、鼻の頭がツンと冷たい。
それでもやはり、今日のこの西の夜空は、間違いなくボクを暖かい気持ちにさせたんだよ。
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