「あー、はいはい。そう興奮しないの」
傷口が開くぞ、と彼はボクの両肩に手を回してそっと横たわらせる。生命賛歌のおかげで傷口もきれいに塞がっているけれど……まぁ、いいか。と素直に甘えることにする。
彼はベッド脇に腰を下ろし、大きくて温かい手のひらで、ボクの頭をそっと撫でた。
そのまま手のひらを滑らせて頬に添えると深い呼吸を一度。そのまましばらくボクを見つめる。
刹那、その瞳の奥で揺れた色に、ボクは僅かに目を瞠った。
もしかしたら、ボクが思っているよりも、ずっと。
そしてそれは、ボクの想いと同じなのかもしれなくて。
そう思い至ると、申し訳なさ半分、嬉しい気持ち半分。
いや…不謹慎なのは、わかってるけれど、やっぱり、ちょっと嬉しいのが勝ってるかも。
「今日はずっと傍にいるからな」
柔らかく、陽だまりのように微笑んだ彼。
そこに込められた想いを、ひとつもとりこぼすことなどないように、ボクは彼をじぃっと見つめた。
……ありがとう。
「うん。今日はもう、だいちの傍でおとなしくしてるよ」
だから、だいじょうぶだよ。
ふわっと微笑んで、空いた方の彼の手を取り、指を絡めた。
繋いだ手も、心も。
なんて、あったかいんだろう。
まるで、陽だまりでそよと吹く新緑の風と一緒にお昼寝してるみたい。
彼が言葉にしなかった、言葉を超えた想いを。
ボクは本当にちゃんと、理解ってあげられているだろうかと考える。
自分の心は自分にしかわからないように、
相手の心は相手のものだから、
解ったつもりで実際は違っていることも多いけれど、
それでもやっぱり、一番大切な人のことぐらいは、ちゃんといつも理解っていてあげたいなぁと思うんだ。
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