紫陽花は雨に咲く陽だまりのように。
甘く香る山梔子はゆっくりと綻ぶ季節。
去年、その花たちにふたりで込めたひそやかな願いを、ちゃんと叶えることができたことへの感謝と新たな想いを紡ぎたくて、本当はもう一度あの河原に行きたいなぁっていうのが一番だったのだけれど、今年はそのお誘いはないらしい。
まぁ、ないものは仕方ないので、ボクは考えてみた。
彼と一緒に過ごせるのならば、本当はどこでだってボクは幸せでいられる。
けれど、せっかく彼がボクの意向を聞いてくれるのだから、「どこだっていい」なんて、つまんない答えはナシだ。
だとしたら、ボクはどんなデートをしたい──?
その時ボクはふと、以前何気なく交わした会話のひとつを思い出した。
それは今年の春のこと。
月と金星と木星だったろうか。宵の空に浮かぶ3つの惑星が縦に並んだプチ天体ショーをボクらは別々の場所で見上げていたことがあった。後日そのことを知った彼は、一緒に見られなかったことを残念がっていたから、
「それじゃあ、今度は一緒に見上げようよ」と、ボクは言ったのだ。
一人で見上げていても心が踊ったんだ。二人なら、きっともっと、ずぅっと楽しいに決まってる。
だから、
「だいちとならどこでもいいけど……星見もいいな」
ボクはあの時と変わらない気持ちで、今すぐに実現ができなくてもいい希望を口にした。
満天の星空を並んで見上げれば、きっと言葉なんて飛びこえて、同じ想いを共有できるような気がする。それはなんて素敵なことなのだろうか。
「星見って七夕の…?もちろんイイぜ!」
七夕。そういえば、もうそんな時期か。
でも、イイって、なにが?
ボクは思いがけない彼の快諾に首をかしげたものの、「参加しておく」という彼の言にはっとして教室を覗きに行き、そのチラシを発見するに至る。
わぁ!なんてドンピシャなタイミングなんだろう!
嬉しいなぁ!
短冊に願いごとを書いて、笹の葉に飾ったら、一緒に天の川を見上げて。
そうだ、浴衣を着ていくのもいいなぁ。
ふふっ、楽しみー!
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